『ジョーズ・イン・ツナミ』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

邦題ジョーズ・イン・ツナミ
原題Malibu Shark Attack
公開年2009年
監督デビッド・リスター
出演レミ・ブロードウェイ / ウォーレン・クリスティー / ピータ・ウィルソン
制作国オーストラリア / カナダ
ランクB級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。)
ストーリー★★★☆☆
演出や絵作り★★☆☆☆
サメの造形★☆☆☆☆

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目次

あらすじ

米国カリフォルニア州マリブの沖合で海底火山が爆発したことで、数百年前に絶滅したとされていた”ミツクリザメ”の群れが解き放たれる。

沿岸でレジャーを楽しむ人々が凶暴なサメたちに襲われる中、連続する火山噴火によって大津波が発生。

米国西海岸の広範囲が被害を受け、ビーチで避難誘導をしていたライフセーバー達が監視小屋に閉じ込められてしまう。

一刻も早く怪我人を病院に運ぶ必要があるのに救助がいつ来るのか分からないという状況の中、血の匂いで集まって来たサメたちが小屋を攻撃し始める・・・。

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

ミツクリザメの紛いものが襲ってくる奇怪なサメ映画

津波によって周囲が水没してしまい、周りから孤立した状態で人喰いザメが襲ってくるサメ映画です。

邦題に「ジョーズ」の名が付きますが、多くの「ジョーズ〇〇」というサメ映画と同様、本家『ジョーズ』とは何の関係もありません。

今では『パニック・マーケット』をはじめ近い設定の作品が多くあるものの、当時はこうしたソリッド・シチュエーション系のサメ映画は斬新でした。

また、恐らく本作はミツクリザメを敵役に置いた史上初のサメ映画でもあります。

とはいえ、本作に登場したものをミツクリザメと認めていいのかは疑問です。

「そもそも人を喰い散らかすようなサメではない」という点は無理やり飲み込むとしても、後述する通り見た目にツッコミどころが豊富なうえ、海洋生物学者であるはずのバーブが「ミツクリザメは何百万年も前に絶滅したのよ!」と騒ぎだすシーンがあります。

勝手に絶滅させないでください・・・。

大津波の直撃を食らったにもかかわらず、ライフセーバー達の小屋は浸水するだけで済んでいるという無茶苦茶な舞台設定も見どころかもしれません。

「2004年にインドネシアを襲った津波に並ぶ大災害」と紹介されているのに、百葉箱を大きくしただけに見える小屋が流されることもなくポツンと残されている様子は非常にシュールです。

人間ドラマがグダグダするが及第点?

上記のようなトンデモ要素以前の問題として、本作は序盤のテンポが悪いです。

定期的にモブキャラを襲わせることで間延びした印象を与えないようにした努力が垣間見えるものの、ライフセーバー達それぞれの恋愛模様が冗長です。

「プロポーズするのはいいとして、いつまでキスしてるの?」と言いたくなる時間があり、不謹慎ながら津波の襲来を待ち望む自分がいました。

大筋のストーリーに関係あるのは、主人公の”ネョラョテ”ライフセーバー(映画を観た方なら分かるはず)達の三角関係くらいでしょう。これについては「建設現場にいるコリンが危険を冒して小屋に救助に向かう」という展開につながっていくので意味はあります。

ただ、元彼”ネョラョテ”も今彼コリンもヘザーのことを想いやっているただの良い奴でしかなく、しかも二人ともしぶとく生き残るので、ただヘザーがどっちつかずのビッチみたいに見えてしまう微妙な仕上がりになっています。

とはいえ、津波が起きてからはソリッド・シチュエーションとしてそれなりの完成度ですし、銃撃、爆発、メッタ刺しなど色々なサメ退治を楽しめるという魅力もあります。

かの『シャークネード』より前にチェーンソーでサメを倒している点も、サメ映画ファンには注目ポイントかもしれません。

津波が発生してからのメインストーリーだけ見れば、そこそこのB級サメ映画と言えそうです。

その他見どころや豆知識

  • “ネョラョテ”の刺青を持つライフセーバーを演じたのはウォーレン・クリスティー。有名どころでは『スーパーナチュラル』のシーズン1・エピソード20でヴァンパイアのリーダー格を演じています。その時も”ネョラョテ”を披露していました。
  • 「助けを呼ぶために泳ぎに行く」と言っていた男女が喰われてからボートの準備をするコリンたち。ボートがあるなら最初から使えばよかったのに・・・。

サメに関する解説

サメの造形

本作に登場するサメは人気な深海ザメとしてお馴染みのミツクリザメということになっています。

しかし、あまりにも再現が酷いです。

作中のサメは終始アゴが飛び出た状態で泳いでいますが、ミツクリザメのアゴが飛び出すのは獲物を襲う瞬間だけです(死んでしまうとアゴが垂れ下がって終始飛び出た状態になるので、この状態を元に再現されているのでしょう)。

そのアゴから見える歯もサメらしくなく、爬虫類のように見えました。

また、作中のサメはCGでもハリボテでも背鰭が「ザ・サメ」とでも言いたくなる大きな三角形でしたが、ミツクリザメのヒレはもっと小さく薄っぺらいです。

第二背ビレが本来生えている場所に複数の棘のような小さな突起が付いているのも気になります。あんなマグロみたいな特徴を持つサメは存在しません。

尾鰭もホホジロザメを彷彿とさせる三日月型でしたが、実際のミツクリザメは上葉が長く、下葉とほぼ一体化しています。

今風に言えば、画像生成AIが作り出したような、明らかにミツクリザメではない異形の怪物でした。

ちなみに、日本近海で漁獲されるミツクリザメのほとんどは1m前後の未成熟と思しき個体ですが、成長すれば5m近くになるとされているので、サメのサイズに限って言えば本作は現実的かもしれません。

生きているミツクリザメ。アゴは常時飛び出しているわけではありません。
飛び出させたミツクリザメの顎。

サメの行動

ミツクリザメは確かに大きくなるサメですが、歯が非常に細長いため、人間の体を引き裂いて食べることはどう考えても無理そうです。

実際に触った感触も水っぽく、ヒレはペラペラなので、水面から飛び上がって人を襲うような芸当もできないでしょう。

そもそも物語の舞台の海はかなり水温が高いと思うので、深海で暮らすミツクリザメには熱すぎて弱ってしまう可能性が高いです。

また、本作のサメは穴を塞ぐキャビネットに体当たりするなどの力強さを発揮していましたが、ミツクリザメの特徴的な長い吻は骨がスカスカで、ほとんどがロレンチーニ瓶という感覚器官のゼリーで満たされています。

あんなふうに激しい体当たりをしたら、大事な吻がボキッと折れてしまうでしょう。

ミツクリザメの頭骨プラスティネーション標本。

その他サメの解説

作中で「ミツクリザメはホホジロザメと同じネズミザメ目」と紹介されていますが、これは事実です。見た目はかなり異なりますが、彼らは同じネズミザメ目に分類されています。

ただし、バーブは「The same spices as great white(ホホジロザメと同じ”種”)」と発言していますが、これは誤りです。

目(order)という、種(species)よりもっと広いグループ分けで同じというだけなので、「They belong to the same order(同じ目の仲間である)」などと説明するのが適切でしょう。

そして、何度でも言いますが、ミツクリザメは絶滅していません。

ミツクリザメと近縁とされるスカパノリンクス(Scapanorhynchus)というサメの化石は発見されているため、そういう絶滅した古代ザメという設定なのかと思いきや、「Goblin shark(ミツクリザメ)」とだけ言っていました。

どうやら本気でミツクリザメが絶滅種だと思って製作していたようです・・・。

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