『ディノシャーク』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

邦題ディノシャーク
原題Dinoshark
公開年2010年
監督ケビン・オニール
出演エリック・バルフォー / イヴァ・ハスパーガー / アーロン・ディアス
制作国アメリカ
ランクB級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。)
ストーリー★★☆☆☆
演出や絵作り★★★☆☆
サメの造形★★☆☆☆

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目次

あらすじ

アラスカの海で氷河が崩壊したことで、氷の中に閉じ込められていた古代生物が解き放たれてしまう。それは、爬虫類の頭とサメの体を持つ食欲旺盛な怪物だった。

それから3年後、故郷であるメキシコのプエルト・バジャルタを久しぶりに訪れたトレイスは、幼馴染のルイスやリタと再会し、海洋生態系を学ぶキャロルと知り合う。

しかし、ビーチで泳いでいたリタが無残な姿で発見され、トレイスは異様な姿の巨大ザメを目撃する。

リタの仇を討つため、トレイスはキャロルと共に異形のサメ”ディノシャーク”に闘いを挑む・・。

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

もはやサメなのか分からない怪物が暴れるパニック映画

サメと何かを合体させたサメ映画と言えば『シャークトパス』シリーズが有名ですが、実はそれよりも先に公開(放送)されていた合体系サメ映画が、この『ディノシャーク』です。

伝説のトンデモサメ映画『ジュラシック・ジョーズ』で製作を務めた”B級映画の帝王”ロジャー・コーマンが、31年ぶりに関わったサメ映画でもあります。

もっとも、当初見始めた時は、本作を「サメ映画」と呼んでいいのか若干迷いました。

一応タイトルに「シャーク」と入っており、日本語版DVDジャケットにはホホジロザメっぽいサメが描かれていますが、本作のサメは頭が完全に爬虫類と化しており、作中でも「プリオサウルス(pliosaur)」と呼ばれるシーンがあります(ちなみに”dinoshark”と呼ばれるのは一度だけ)。

シャークトパス』がタコ映画ではなくサメ映画であるならば、本作も頭の形状を基準にサメ映画ではなく恐竜系映画とした方が良いのでは・・?と思っていました(プリオサウルスは恐竜ではないので、あくまで恐竜”系”映画)。

しかし、映画全体を見てみると、

  • 主人公が怪物の脅威を訴えるが周りは半信半疑
  • そんな中で本筋にあまり関係ないモブキャラが喰われていく
  • 水面から背鰭を出して「ここにいますよ」アピール

など、サメ映画にありがちなパターンや描写が多く見受けられました。

背鰭を水面から出ているシーンだけ見れば確かに完全なサメ映画であり、もはやこの表現のためだけにサメ要素を取り入れたのではないかと思うほどです。

そうした事情に加え、そもそも「サメ映画」とされるものの中には「これを本当にサメと呼んでいいのか?」と思う生物が出てくる作品も多いため、この『ディノシャーク』もサメ映画ということにしておきましょう。

ディノ要素が必要だったのか疑問な内容

そんなサメなのかすら疑いたくなる異形の怪物を登場させた割に、その特殊設定が活かされることはほぼありません。

本作のディノシャークは先述の通り頭が爬虫類になっており、鎧のように硬い皮膚を持っています(爬虫類と合体したことで何故そんな特徴を得るのかは謎)。

しかし、作中のディノシャークは他のサメ映画のサメと同じように水中で人を襲い、各襲撃シーンもディノシャークが噛みつく瞬間が映ってすぐに水中へフェードアウトというものがほとんどで、特に爬虫類と合体した意味を感じさせない描写が続きます。

強いて言えば、パラセーリング男性やヘリを襲うなどジャンプするシーンが多かった気がしますが、それが爬虫類要素と関係あるのかは不明です(なお、本作以外でもサメは割と飛び上がります)。

硬い皮膚についても、ディノシャークが本格的な攻撃を受ける場面が後半にしかなく、ストーリー上そこまで重要な意味を持ちません。

どうせなら「溶存酸素の少ない場所に閉じ込めたのに空気呼吸で生き延びてしまった」とか「ロケットランチャーを数発撃ち込んでも無傷で襲ってくる」など、設定を活かした見せ場をもっと作って欲しかったと感じます。

大まかな内容だけで言えば、普通のサメでもほとんど違和感なく成立していたと言えるでしょう。

サメの出番は多いが人間関係が雑

ストーリーそのものについては、幼馴染を殺された主人公と美女が怪物へ仇討ちするという分かりやすいものになっています。

ディノシャークが人を襲う場面はそれなりに多く、サメ映画としてはある程度見ごたえのある仕上がりです。

しかし、先述の通りサメの襲い方が「一瞬映ってガブっ!」みたいなものが多いうえ、そのほとんどが本筋に関係ないモブキャラが喰われるシーンばかりなので、無理矢理サメの出番を増やしている感は否めません。

さらに、幼馴染の親友がいるのに「泊まる場所がない」と言って船で寝泊まりするトレイスの設定が意味不明なうえ、キャロルに下心がありそうなオッサンが意味ありげに登場した割には後半フェードアウトしていく、ディノシャークを捕獲すべきと言っていたキャロルが何の迷いもなくサメを殺そうとする、親友であるはずのルイスが喰われたのにトレイスが無反応など、人間関係が総じて雑に描かれています。

わざわざ専門家にディノシャークの分析を依頼した挙句に出てきた情報が「眼が弱点」だけで(そもそも胃内容物に付着したDNAでそんなことまで分かるの?)、その後あっさりと仕留めてしまう点にも物足りなさを感じます。

“爬虫類頭のサメ”という発想の勢い、パニック映画としてオーソドックスな展開、後半の盛り上がりによって、それなりのサメ映画に仕上がっていますが、飛びぬけて注目に値する作品とも言い難いです。

その他見どころや豆知識

  • アラスカからいきなりメキシコに現れて人を襲い始めるディノシャーク。そんな遠くまで泳がずとも途中に良い餌場がありそうな気がしますが・・。
  • ヘリコプターがディノシャークに落とされた後の「You’re gonna need a bigger chopper」という『ジョーズ』オマージュ。
  • キャロルがディノシャークを仕留める際の決め台詞、日本語では「絶滅しなさい」というニュアンスで訳されているようですが、実際は「Welcome to the Endangered Specices list, you bastard(絶滅危惧種リストに加えてあげるわ、クソ野郎)」と言っています。「絶滅危惧種リスト」だと他の仲間が生き残っていることになるので、決め台詞として微妙ですね。
  • 本作の1年後に公開されたサメ映画『ビーチ・シャーク』では、主人公が「つまりこれはdinoshark(恐竜ザメ)か?」と言ったのに対しサメ博士が「私はロジャー・コーマンじゃないのよ」と返すという、本作に絡めたネタが披露されます。

サメに関する解説

サメの造形

先述の通り、もはやサメではない何かでした。

作中でも名前の挙がっていたプリオサウルス(首長竜の仲間ではあるが首は短く、頭部が大きい水棲爬虫類)のような顔をしており、岩石のような肌には矢尻のような大きいトゲがついていました。

一応プリオサウルスの後ろ足に当たる部分がサメの腹鰭のように小さくなっている、プリオサウルスにはないはずの大きな背鰭や尾鰭を持っている、などのサメ要素はありましたが、これをサメと認めていいのか迷います。

なお、作中でキャロルは「これらの種は1億5000万年以上前に絶滅したはずだわ」と発言していますが、絶滅以前にこんな生物の記録はありません。

また、冒頭とエンドロール直前に氷河から魚が飛び出してくるシーンにも違和感があります。

恐らくディノシャークの子供として描いているのだと思いますが、そのモデルはミロクンミンギア(プリオサウルスはおろか、サメ類誕生よりも前の時代の魚)と思われ、サメにも爬虫類にも見えません。

さらに言えば、大型サメ類の多くは自分とほとんど同じ姿をした子供を産む胎生であり、首長竜類も胎生であったという研究があるため、あんな小さな魚がディノシャークの子供とは考えづらいです。

プリオサウルスのイメージ図(絵はkanimisoさん作成)

サメの行動

サメですらないような生き物なので細かくはツッコミませんが、氷河の中で生き延びていた小さな幼魚が3年で巨大化し、メキシコまで泳いでくるという設定に違和感を覚えます。

「氷の中で生きていた」や「アラスカの寒さに耐えられた」という点は強引に納得するとしても、低温環境であれば代謝速度が落ちるため成長に時間がかかるはずで、短期間であそこまで大きくなるとは考えづらいです。

その他サメの解説

キャロルはジンベエザメについて「歯がない」と言っていましたが、ジンベエザメにも歯はあります。非常に小さいだけです。

ジンベエザメの歯の写真
実際のジンベエザメの歯

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