昨今、ヤバいサメ映画がカルト的な人気を博しています。
陸を歩く、空を飛ぶ、トイレから現れる、霊体になる・・・・。もはやどうツッコミを入れればいいか分からないB級・Z級サメ映画が乱発しています。
その中で特に代表的な「ザ・B級サメ映画!」と呼べる作品は、以下の2作品でしょう。
『シャークネード』&『ダブルヘッドジョーズ』!
観たことない人でも、恐らく名前を聞いたことある名作(迷作?)であり、それぞれ長期シリーズ化しています。
では、実際に竜巻が飛んできたり、二つ頭のサメが現れることはあるのでしょうか?
今回は『シャークネード』と『ダブルヘッドジョーズ』という、アサイラム&アルバトロスを代表する2作品のあらすじと、そのリアリティについて解説していきます!
解説動画:
このブログの内容は以下の動画でも解説しています!
※動画公開日は2021年5月21日です。
『シャークネード』レビュー
シャークネードリーズは、2013年に公開された一作目のテレビ映画から続く、カルト的な人気を誇るサメ映画です。
一作目のあらすじ
メキシコ湾で発生した3つの竜巻が、なぜか海の中のサメたちを巻き込みながらロサンゼルスまで進行。
暴風と豪雨の中、逃げ惑う人々がサメに襲われてしまう。
バーの経営者である主人公のフィンは、サメと戦いながら家族とともに竜巻から避難しようとするが、竜巻はついにサメを撒き散らしながら街を破壊するシャークネードになってしまう・・・。
果たしてフィンたちはこの未曽有の危機を乗り越えることができるのか・・・!?
ふざけたサメ映画の代表作として有名な『シャークネード』ですが、実は一作目のトンデモ度合いは控えめです。
一作目の前半は普通にサメが水の中を泳いで人を襲う場面が多く、本物のサメの映像もたびたび挿入されていて、B級ではあるものの多少まともな仕上がりになっています。
仲間を食べたサメを切り裂いて仲間を助け出すなどのぶっ飛び展開が出てくるのは映画の後半です。
ただし、一作目で「サメ映画は何をしてもいい」と味をしめたのか、二作目以降になると完全に壊れ始めます。
- 飛んできたサメが飛行機のエンジンに突っ込んでバードストライクならぬシャークストライクを起こす
- 宇宙空間に飛んで行ったサメの体内で人間が出産する
- シャークネードにより全世界が破壊される
- サメを使ってタイムスリップをする
「もう好きにしてくれ」という感じですが、熱狂的なコアファンを獲得したシリーズで、全6作が制作されています。
サメ好きからは『ジョーズ』とは違う意味で不評を買うことが多いですが、よく見るとサメのディテールにこだわっており、アオザメ、ヨゴレなど複数のサメを登場させるなど、彼らなりにサメ愛が溢れ出ているシリーズです。
シャークネードは実際に起こりえるのか?
では、実際にシャークネードのようにサメが空から飛んでくることはあり得るのでしょうか?
実は、思わぬ場所でサメが見つかる事例や、空から生き物が降ってくる謎の現象は過去実際に発生しています。
道端にサメ
2017年のオーストラリアにて。サイクロンによる被害が収まった頃、ある男性が外に出てみると、道端で泥まみれになったオオメジロザメの死体を発見しました。
サイクロンで飛ばされて来たとしたら本当にシャークネード的なので、海外メディアでは「Real Life Sharknado」という見出しで報じられました。
ただし、オオメジロザメは川にも昇ってくるサメであり、現地ではかなり洪水が起きていました。そのため、ただ単に川を遡上したサメが洪水の後に取り残された説が有力です。
ファフロツキーズ現象
サメではありませんが、本来降ってくるはずのない動物が空から降り注ぐ事例は複数報告されており、ファフロツキーズ現象、怪雨、Rain of animalsなどと呼ばれます。
例を挙げると、小魚、カエル、オタマジャクシ、カブトムシの幼虫、小型のワニなどです(嘘のような話ですが、日本の石川県でもオタマジャクシが数十匹降ってきたことがあります。)。
このファフロツキーズ現象の原因については、
- 竜巻によって巻き上げられた説
- 鳥が運んでいる途中に落とした説
- UFOが落としていった説
- 政府のヤバい実験説
など様々な噂があります。
UFOや極秘実験だという説にはもちろん証拠はなく、竜巻や鳥によるものがほとんどだと思われます。
シャークネードはサメに関係なく危ない
そもそも論ですが、大型サメ類をまき散らすほどの台風が来たら、サメに噛まれる前に人間は終わります。
平均風速30mの風が吹き荒れる場合、以下のような事態が起きます。
- 人間は立っていられない。屋外での行動は危険。
- 樹木が根こそぎ倒れはじめる。
- 車の運転も危険。走行中のトラックでも横転する。
- 住宅が破壊される恐れもある。
シャークネードでは体重1トンを優に超えるであろうホホジロザメやジンベエザメがすごい勢いで飛んでくるため、間違いなく風速30m以上はあり、サメに関係なく街を破壊しつくすパワーを持っていると思われます。
もしシャークネードが起きたとしたら、チェーンソー振り回してサメ退治に励むのではなく、さっさと避難したほうが賢明です。
『ダブルヘッド・ジョーズ』レビュー
『ダブルヘッド・ジョーズ』は、2012年に公開されたサメ映画です。
一作目のあらすじ
学校の課外授業を行っていた学生と引率教師を乗せたクルーザーが、メガマウスの死体にぶつかって破損してしまう。
操縦不能になった船を修理する間、彼らは近くにあった小さな島に上陸するが、二つの頭を持つサメ、ダブルヘッドジョーズの襲撃を受ける。
学生たち二つ頭のサメに次々に食い散らかされ、さらに安全地帯である島も崩壊をはじめ、徐々に逃げ場を失っていく・・・。
少なくとも一作目は、演技・演出その他もろもろが雑であること、そして二つ頭にする必然性がほとんど見当たらないことにツッコミを入れなければ、割と普通に見られる作品です。
必然性がないというか、ダブルヘッドに意味を持たせるために登場人物をやたらと多くして、襲撃のたびに2人まとめて食べさせているという感じです・・・。
しかし、この映画もなぜかこの後シリーズ化されて、しかもシリーズが進むごとに頭が増えていきます。
最終的には6ヘッドジョーズになり、それぞれの頭を使って陸を歩き出し、頭を切られても再生するという特殊能力を発揮します。
二つ頭のサメは実在するのか?
双頭の人喰いザメが襲ってくるという設定はいかにもB級臭いですが、実は二つ頭のサメ自体は存在します。
サメの中には赤ちゃんを直接産む胎生の仲間が多くいるのですが、オオメジロザメやヨシキリザメの子宮内から、二つ頭の胎児が発見された事例が複数報告されています。
#TeamFish, you know the saying that “Two heads are better than one”? Well here is a two-headed (#dicephalic) Bull #Shark (#Carcharhinus leucas) fetus that was found inside a female shark collected from the Gulf of Mexico in 2013. #FishFacts
— John P. Friel, Ph.D. (@friel) March 25, 2020
🔬:https://t.co/GyHM4ULFGR pic.twitter.com/PRITeJMtOb
さらに、地中海に生息するヤモリザメの仲間の研究中に二つの頭を持つ状態で成長している赤ちゃんが発見されました。
このヤモリザメの仲間は、それぞれの頭に両目・口・脳・5つの鰓孔を持っていて、頭は鰓の後ろあたりで結合していました。胃と肝臓は二つあり、腸は一つだったそうです。
こうした生き物は様々な生き物で確認されており、結合双生児(俗にシャム双生児)と呼ばれています。
二つ頭のヘビやカメは珍しいペットとして販売されることがありますし、体が結合した状態で生まれた双子の人々を『ザ!世界仰天ニュース』や『奇跡体験!アンビリバボー』などのテレビ番組で知った人も多いと思います。
こうした事象の原因は、突然変異や環境ホルモン汚染など色々と言われていますが、はっきりとした原因が不明なことも多いようです。
二つ頭のサメが人を襲うことはあり得るのか?
ダブルヘッド・ジョーズのように、双頭のホホジロザメが人を2人一気に襲う可能性もあるのでしょうか?
これについては、あり得ないと言い切っていいと思います。
双頭のサメは複数種で確認されていますが、どれも胎児や赤ん坊の個体で、成長した二つ頭のサメが見つかることはまずありません。
これは、二つ頭のサメがすごく珍しいからではなく、二つ頭の体ではまず自然界で生き残れないからです。
そもそもホホジロザメを含む多くのサメというのは流線型でスマートな体つきをしています。
これは、この体型をしている方が水の抵抗を最小限にできるので、そのような省エネで速く泳げる祖先の遺伝子が進化で残ってきた自然淘汰の結果です。
映画のダブルヘッド・ジョーズは普通に泳いでいましたが、物理学的に考えれば水の抵抗を全然受け流せません。人を襲うどころか、ほとんど泳げずに沈んでしまうと思われます。
そもそも僕たち脊椎動物は、手足の形状、首の長さ、しっぽの有無など様々なボディパーツが種によって異なりますが、「一つだけの頭を持って、食べたものを後ろから出す」という、根本的なボディプランは共通していますよ。
多様な生物進化の中で二つ頭の脊椎動物が種と呼べるくらいまとまって生き残っていないという事実が、「双頭の人喰いザメは実在するか?」という疑問の回答になると思います。
参考文献
- GIZMODE『Australia Hit by Real Life Sharknado』2017年(2022年7月25日閲覧)
- 朝日新聞『空からオタマジャクシが降ってきた? 石川県で相次ぐ』2009年(2022年7月25日閲覧)
- ウェザーニュース『【台風】風の威力に注意 風速と被害の目安は?』2018年(2022年7月25日閲覧)
- ナショナルジオグラフィック日本版『頭が2つあるサメが見つかる、卵生で初、地中海』2016年(2022年7月25日閲覧)
- ナショナルジオグラフィック日本版『頭が2つあるサメの報告が世界で増加、原因不明』2016年(2022年7月25日閲覧)
- 日刊スポーツ『甲子園史上初珍現象、ギョギョ空から魚が降ってきた』2016年(2022年7月25日閲覧)
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※本記事は2022年3月までにWebサイト『The World of Sharks』に掲載された記事を加筆修正したものです。
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