邦題 | シャークアタック / シャークアタック 地獄の殺人ザメ |
原題 | Shark Attack |
公開年 | 1999年 |
監督 | ボブ・ミシオロウスキー |
出演 | キャスパー・ヴァン・ディーン/ジェニー・マクシェーン/アーニー・ハドソン |
制作国 | アメリカ |
ランク | 準A級(世間的にはB級だが個人的にはお勧めしたい。) |
ストーリー | ★★★★☆ |
演出や絵作り | ★★★☆☆ |
サメの造形 | ★★★☆☆ |
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あらすじ
フロリダでサメの研究をしている海洋学者スティーブンは、親友マークからの連絡を受け、サメの襲撃が立て続けに起こっている南アフリカを訪れる。
しかし、スティーブンが現地に着くころには既に、マーク自身もサメに襲われて死亡していた。
不自然なほど頻発するシャークアタックと親友の死を不審に思ったスティーブンは、マークの妹コリンと現地の漁師マニの協力を得て調査を開始する。
やがて彼らは、一連の出来事の裏にサメを利用した陰謀があると気付くが・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
サメ・アクション・サスペンスの見事な融合
アクション映画を得意とし、後に多くのB級サメ映画を輩出することになるヌー・イメージ社初のサメ映画です。劇場公開作品ではなく、テレビ放送向けの映画として製作されました。
世間での評判はそこまで良くありませんが、B級とされるサメ映画の中では個人的に最も好きな作品の一つです。実を言うと、当サイトに「準A級」というランクがあるのは、作を単なるB級映画として紹介したくないというのが発端でした。
本作の評価すべき点は、パニック要素・サスペンス要素・アクション要素を上手に融合させている点です。
あらすじにも書いた通り、本作はサメがとにかくサメを襲いまくるという純粋なパニック映画ではなく、サメの襲撃が連続している裏で進行する強引な新薬開発や石油利権獲得などの陰謀に立ち向かうストーリーとなっています。
「サメVS人間の死闘」という内容ではないので『ジョーズ』のようなサメとの熱い闘いはありませんが、ダイビング中にサメに襲われる場面をはじめ、サメ映画らしい緊張感のある襲撃シーンが盛り込まれています。
登場するサメのほとんどがドキュメンタリー映像の切り貼りという低予算映画ならではのチープさはあるものの、アニマトロ二クスや本物のサメの死体を組み合わせることで場面に合った映像を作り出しており、B級と呼ばれるサメ映画の中ではかなり高品質な部類です。
また、何気なくマークが付けなおした時計がサスペンス的展開の布石になったり、沈没船ダイビングで捨てたタンクが後半に活かされるなど、ストーリー全体も割と洗練されています。
さらに、アクション映画が得意なヌーイメージ作品だけあって、カーチェイスやボートチェイス、銃撃戦もそれなりに楽しめます。
一見サメに関係なさそうな漁師の愚痴や乱闘騒ぎも、背景説明や彼らの人柄を示す役割を持っており、テレビ映画にありがちな明らかに尺稼ぎに思えるシーンもほとんどありません。
犯罪要素を絡めたサメ映画(僕は”クライムアクション系サメ映画”と呼んでいます)はサメを蔑ろにしたりストーリーがグダグダすることが多いのですが、本作は「サメ襲撃の背景にある陰謀を暴く」というストーリーを非常に整った形で描いている良作だと思います。
サメ映画の前提に切り込む作品?
映画のクオリティとは別に、本作にはサメ愛好家として評価したいポイントがあります。
それは「サメの襲撃が連続するのはおかしい」という、極めて現実的な問題提起からストーリーが始まるという点です。
一般的なサメ映画は、「サメが出た!人が何人も喰われてる!とにかく仕留めるぞ!」という風に、サメが人を喰いまくるのは当たり前の前提としてサメ退治が始まります。
しかし、本作の主人公スティーブンは「何故こんなにサメが人を襲うのか?明らかに異常だ!」という疑問を抱き、いたずらにサメを仕留めるのではなく、その根本の原因を突き止めようと行動します(途中で人命救助や調査の目的でサメとやり合うシーンはあります)。
サメに多少詳しい方なら基礎知識だと思いますが、サメの襲撃は世間一般で思われているより件数が少なく、狭い範囲・地域でシャークアタックが何件も連続することは稀です。
サメを利用した生体実験や石油利権などの要素はいかにも映画らしいですが、本作における主人公の行動原理は、サメの実態に即した非常に現実的なものだと感じます。
その他見どころや豆知識
- 本作の主演キャスパー・ヴァン・ディーンは、本作から16年後の2015年に『シャークトパス VS 狼鯨』という思いっ切りB級なサメ映画でも主演を務めています。『スターシップ・トゥルーパーズ』や『パイソン』にも出演する等、何かとモンスターに馴染みのある俳優です。
- 本作でコリンを演じたジェニー・マクシェーンは、本作の続編とされているがストーリー上何の関係もないB級メガロドン映画『ディープ・ライジング コンクエスト』でもヒロイン役を務めています。
- スティーブン達にブチ切れている部族の服装をよく見ると、ターバンやネックレスにサメの歯が使われています(ちょっと偽物っぽいけど)。
- 体に振りかけるだけで効く麻酔が存在するとは思えません。
- トーテムの火が光源になっているとはいえ、夜の水中で沈没船まで潜ってタンクを探し当てられるのは凄すぎる。
- 海水に浸かったCDが使い物になるのか疑問・・・。
サメに関する解説
サメの造形
作中でサメが映るシーンの多くはドキュメンタリー用に撮影されたと思しきホホジロザメの映像で、一部アニマトロニクス(ただの模型?)が使用されていました。
ドキュメンタリー映像が使われているサメ映画は海の色やサメの見た目がコロコロ変わって切り貼り感が強く出るのがネックですが、本作は素材とアニマトロ二クスを器用に使い分けることで、その点はある程度カバーしていたように見えます。
また、サメの模型はやや不格好ではありましたが、ホホジロザメと分かる姿をしており、当時の低予算映画としては十分なクオリティだったと思います。
さらに、マイルズの研究所や船の上で解剖されるサメは恐らく本物が使用され、実際に内臓や脳を取り出していたようです。
本物のサメの死体を使った映画撮影を許容すべきなのかという問題はあるものの、リアリティにこだわっている点は映画として評価すべきでしょう(ただ単に偽物のサメを用意するより本物の方が安上がりだったのかもしれませんが・・・)。
なお、マークの腕を飲み込んでいたサメについて、日本語吹替でマイルズが「見事なツマグロザメだ」と言っていますが、どう見てもツマグロには見えません。
実際の英語のセリフでは「Good morning, Mr Blacktip(おはよう、ブラックチップ君)」とだけ言っているので、恐らくカマストガリザメ(Blacktip shark)の設定だったのがツマグロ(Blacktip reef shark)と誤訳されたのでしょう。
解剖台に載せられたサメが本当にカマストガリザメだったのか映像だけでは判断が難しいですが、一瞬写った下顎歯が細長かったので、その可能性もあると思います。
サメの行動
本作のサメは「成長ホルモンを投与されて脳が異常をきたしている」や「低周波の装置が沿岸の海やラグーンに仕掛けられている」という複数の要因で凶暴化している設定でした。
実際に成長ホルモンや低周波でサメをそこまで攻撃的にできるのかは疑問ですが、「特殊な条件下でなければシャークアタックは頻発しない」という世界観自体は現実的だったと評価できます。
ただし、研究所の敷地内にある狭い生け簀の中をホホジロザメが泳いでいるシーンについては「そんなところで飼えるわけがない」とツッコミを入れざるを得ません。
その他サメの解説
- 夜のコイジラグーンでサメを捕まえるシーンにて、肉に噛みついたのはホホジロザメのはずななのに、暴れているサメの下葉が短く、明らかにメジロザメ類になっています。解剖されているシーンでもホホジロザメではありませんでした。
本作のシリーズ作品
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