邦題 | ザ・メガロドン 大怪獣覚醒 |
原題 | Megalodon: The Frenzy |
公開年 | 2023年 |
監督 | ブレンダン・ペトリッツォ |
出演 | エリック・ロバーツ / キャロライン・ウィリアムス / ジェシカ・チャンセラー |
制作国 | アメリカ |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品) |
ストーリー | ★☆☆☆☆ |
演出や絵作り | ★★☆☆☆ |
サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
前作でメガロドンを撃退したキング号は、さらなるメガロドンの襲撃を受ける。殉職したリンチ艦長に代わり、シャープ中佐がキング号の指揮をとることに。
同じ頃、海底火山を利用したエネルギー開発に取り組むクラトス基地の研究者ライリー・クラーク博士は、海底の採掘作業中にメガロドンに遭遇。
キング号は既に損傷を受けて武器も不足し、クラトス基地の供給パイプをサメに攻撃されれば大災害が起きかねないという状況で、シャープ中佐はクラトス基地に向かい、クラーク博士たちは対策を検討する。
しかし、巨大メガロドンの一匹が妊娠している可能性が浮上して・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
デカすぎるサメが出るショボすぎる作品
B級サメ映画業界ではお馴染みのアサイラム社が手掛けたメガロドン映画であり、『ザ・メガロドン』シリーズの三作目です。
とは言っても、過去作とのストーリーのつながりはそこまで強くありません。
2作目『ザ・メガロドン 怪獣大逆襲』で無事にメガロドンを撃退したキング号がボロボロになっている状態からいきなりスタートし、前作の主要キャラクターも何故か死亡扱いになっていて新キャラばかり出てきます。
端的に言えば、それっぽい雰囲気とスケールの大きい設定だけで中身も見所もない、ただつまらない作品でした。
30m級や60m級という何をどうかんがえてもメガロドンとは思えないサイズの巨大ザメが暴れ回る怪獣スケールの作品ですが、サメが映るシーンがとにかく少なく、しかもそのほとんどは本筋と直接関係ないモブキャラの捕食シーンです。
サメが登場するシーンでも潜水艦を操縦する人ばかりが映されたり、「背ビレが見えたぞ!」などと兵士が叫んでいるだけで肝心のサメが見えないなど、あえてサメを見せないようにしているとしか思えない描写が散見されます。
また、戦艦への攻撃は縁に噛みつく&体当たりをするなどワンパターンで、おまけにほとんどのカットが引き気味の定点映像なので迫力がありません。魚雷や爆弾でサメと闘うシーンも爆発がショボいです。
基地での殲滅作戦が開始されるクライマックスも、主要キャラの整備士が潜水艇ごと丸呑みにされるだけであっけなく退場したり、施設の瓦礫にサメが何尾か巻き込まれる映像が映っただけで全てのメガロドンが全滅したかのように描かれ、ショボいというかテキトーに作っているとしか思えません。
もちろん、CGが下手なコラ画像並みというアサイラム・クオリティも健在です。
そんなショボいCGの使用すら制限しないといけないほど予算がなかったのか?そこまで予算がないなら何故こんな作品を作ったのか?そんなことを思わせる仕上がりになっています。
とにかく人の顔ばかり写し出す映画
そもそもサメに限らず、情景描写のほとんどをセリフに頼っているため状況や流れが分かりづらいです。
本作にはクラトス基地という海上研究施設が登場し、
- 水門を閉じることでメガロドンを封じられる
- 海底火山に通じているパイプが攻撃されれば津波が発生する恐れがある
- 供給パイプを止めるには水中に潜るしかない
などの設定が盛り込まれているのですが、これらの情報がクラーク博士たちの会話でだけ説明されます。
施設の構造が説明される際に施設の水中部分を映しだしたり、キャラクターが地図を使って作戦を説明したりなどの工夫(『ディープ・ブルー』などの良質な映画にはこうした描写があります)は皆無に等しく、ひたすら会話している人間の顔だけが交互に映るだけ。
壮大なスケールの話をしていますが、分かりづらく全く臨場感がありません。
しかも、供給パイプ破損による津波の危険性をはじめ同じトピックが何度も蒸し返されるため、グダグダ感が凄いです。
一応総合的なクオリティはB級の範疇に何とか収まっていますが、このあからさまな手抜き感はZ級サメ映画に近い物を感じ、B級サメ映画の中でもかなり上級者向けの作品と言えるでしょう。
その他見どころや豆知識
- 本作でシャープ中佐を演じたエリック・ロバーツは『シャークトパス』にも科学者ネイサン役で出演しています(実はジュリア・ロバーツのお兄さん)
- 銃撃シーンと砲撃シーンに一作目からの使い回しがあります。
- クラトス基地では地熱工学の観点からエネルギー問題に取り組んでいるという設定ですが、海底で採掘作業ができるほどのレーザー光線をワイヤレスで放つエネルギーはどこから来ているのでしょうか?
- クラーク博士が潜水艇で潜る映像にて、深海の海底火山に向かっている設定なのにサンゴ礁などの明るい水中映像ばかり流れます。
- 時々流れる海上を飛ぶヘリコプターの映像。何のために流しているのか謎。
- サメに追われて必死に逃げている感じだったのに、いつの間にかあっさりと基地内に帰還していたクラーク博士。
- 全長50mを超えるサメが片側に乗り上げたのに全然傾かないキング号。
- 海岸に乗り上げて女を食べる巨大ザメ。お前はシャチか。
- バハ・カリフォルニアにて、ダイバーよりもマンタの方が絶対食べ応えありそうなのに、ちびっちゃい人間だけを狙って食べるメガロドン。
- 起爆装置のリンクを忘れるうえにカートのバインダーも忘れる無能なクリスティ。
サメに関する解説
サメの造形
「不格好なホホジロザメを怪獣サイズに巨大化させた」という感じでした。
シリーズ過去二作に比べて体表面の凹凸が無くなり、より自然で普通のサメっぽくなりました。この点は評価できるでしょう。
しかし、やはりバカバカしいまでにサイズがデカいです。
ヒルトン博士は「シロナガスクジラと同じ大きさのサメはメガロドンしか考えられない」と発言し、さらにそれすら超える60m級のメガロドンすら登場するのですが、そんなサイズのサメはもはやメガロドンではありません。
メガロドンの全長についてはさまざまな説があるものの、現実的にあり得たであろうサイズは恐らく10~15mほどです。
正確な平均および最大全長が不明とは言え、30~60mというのは「誇張」や「諸説あり」の域を超えています。
メガロドンはデカいサメに対する俗称ではなく生物学的な呼称(種小名)なので、ここまで常識外の生物を「メガロドン」と呼ぶのは慎んで頂きたいです。
サメの行動
ツッコミどころの塊みたいな本作ですが、頭の動きと繁殖方法について真面目に紹介したいことがあります。
サメの頭は下に動かない
作中のサメが戦艦に噛みつき、そのまま船上の人間を食べるというシーンが何度かありましたが、この時にサメの頭がおかしな動きをしています。
アカシュモクザメなどの一部例外を除き、ほとんどのサメの頭は下向きには動きません。
しかし、本作のサメはまるでシロイルカのように”首”を下向きにカクンと動かしています。これは構造上あり得ない動きなので、再現としてはマイナスポイントです(厳密にいえば、そもそもサメには”首”がありません)。
サメのオスは子育てをしない
本作では一番大きなメガロドンが妊娠しており、それを複数のオスが守っているという仮説が登場しました。
現実ではオスのサメがメスを保護するようなことは確認されていないので、哺乳類における子育てのイメージを安易にサメに当てはめただけでしょう。
ただ、もし胎生サメ類が異父兄弟で育つ(一尾の母親が複数のオスの子供を同時に体内で育てる)ことを意識したのであれば、なかなか面白い発想だと思います(多分そこまで考えてない)。
子宮内で食い合わないと2尾産む?
ミルトン博士はサメの出産数について「子宮内で食い合わないと2尾産む」という謎の発言をしています。
恐らく子宮内共食いをすることで有名なシロワニの事例を指しているのだと思いますが、彼らは子宮を二つ持っており、それぞれの子宮内で共食いするので2尾産まれてきます。
したがって「食い合わないと2尾産む」ではなく、「食い合うと2尾しか産まれてこない」の方が適切です。
ついでに言えば、同じく子宮内共食いが1例確認されているアオザメは2尾以上産むことや、シロワニが子宮内共食いをしていると確実に示す事例が1件のみであることなどから、子宮内共食いはどの程度起こる現象なのか?その時は2尾だけしか産まれてこないのか?という点は議論の余地があります。
メガロドンの子供は頭から産まれたのか?
作中ではメガロドンの出産シーンが描かれており、この時の赤ちゃんは頭から産まれてきています。
当然メガロドンの出産など誰も観たことがないので真相は不明です。
しかし、ネズミザメ目の現生種であるシロワニも頭から産まれてきていることから、同じネズミザメ目であるメガロドンの出産シーンを描くなら、余程明確な理由がない限りは頭から産まれるよう描くのが妥当な気がします(あくまで個人の感想です。同じグループのサメでも同じように出産されるとは限りません)。
本作の製作陣がそこまで意識したとは思えませんが、個人的には評価できるポイントです。
シロワニの赤ちゃん出産の瞬間はコチラ↓
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