邦題 | シックスヘッド・ジョーズ |
原題 | 6-Headed Shark Attack |
公開年 | 2018年 |
監督 | マーク・アトキンス |
出演 | ブランドン・オーレ/タンディ・セベ/コード・ニューマン |
制作国 | アメリカ |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
ストーリー | ★★☆☆☆ |
演出や絵作り | ★★☆☆☆ |
サメの造形 | ★★★☆☆ |
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あらすじ
舞台はメキシコのバハ半島沖に位置するコラゾン島。カップルの関係修復を目的にしたキャンプセミナーを主催するウィリアムは、参加者同士の険悪なムードやセミナーに対する不満、そして離婚を迫る妻という問題を抱えていた。
そんな中、セミナースタッフのブラッドが無残に噛みちぎられた状態で発見される。
取り乱す一行の前に現れたのは、六つの頭を持つ巨大なサメだった。
冷戦下の極秘実験で誕生したとされる異形の怪物は、驚異的な能力を駆使して次々に参加者たちの命を奪っていく。
ウィルは彼らを救うべくサメに闘いを挑むが・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
トンデモ要素という点では良作
二つ、三つ、五つと頭を増やし続けたサメが、ついに六つの頭を獲得した多頭シリーズの第四弾です。
本作も過去作品とストーリー状の繋がりは一切なく、二作目『トリプルヘッド・ジョーズ』では海洋廃棄物汚染の産物とされた多頭ザメが、本作では冷戦下で極秘に作り出された実験体という設定になっています。
また、前作『ファイブヘッド・ジョーズ』では尾が五つ目の頭になっていたのに対し、本作では全ての頭が体の前方・左右から生えています。
そんな本作『シックスヘッド・ジョーズ』は、サメ映画にトンデモ要素を求めるファンからすれば高クオリティだったと言えます。
もはやヒトデみたいな形状になった時点でトンデモが過ぎるということはさておき、今回のサメは特殊能力てんこ盛りです。
切られた頭が再生するのは当たり前。左右に生えた頭を足のように使って陸上を歩き出す、船の周りを高速で旋回して渦潮を作り出す、自らの頭を噛み千切って遠投するなど、これまでの作品になかった荒業を次々に披露してくれます。
個人的には頭を使って陸を歩くシーンが一番衝撃的でした。真っすぐ進めるカニのような動きでサメが突っ込んでくる様子は、良くも悪くもアサイラムの味がよく出ていると思います。
また、サメが頭を投げつけて攻撃するという遠距離技を獲得したという点で、サメ映画の歴史上重要な作品かもしれません(何がどう重要なのかはノーコメントで)。
ストーリーは散漫で行き当たりばったり
トンデモ要素という点ではシリーズ最高傑作と言っても過言ではない本作ですが、ストーリーに残念なポイントが多いです。
本作は「カップルの関係修復を目的にしたキャンプセミナー」という独特の設定を用意し、序盤で参加者たちの関係性や問題点を冗長に思えるほど細かく描いていたにもかかわらず、それらがほとんど活かされません。
登場人物たちはチームワークを効果的に発揮することはなく情緒不安定なままで、ただ逃げ惑い、いがみ合います。なんなら「関係修復は死亡フラグ」と言わんばかりにお互いの愛を確かめ合ったカップルから喰われていきます。
主人公ウィルと妻の複雑な関係にもそれなりの尺が割かれていましたが、結局その後の展開につながることなく妻が喰われて終わります。
他にも、ブラッドと一緒に襲われたレベッカのことを当初探していたはずなのにウィルが完全に忘れている、ヒッピーの彼女である気象学者サラが「嵐がやってくる!」と大騒ぎしていたにもかかわらず嵐がやってこない、浮気を疑われていたメリーとウィルの関係性が曖昧なまま良い雰囲気で終わるなど、全体的にストーリーの流れが雑です。
自己啓発的なキャンプセミナーという設定で僻地にドラマ性のある登場人物を自然に配置し、頭歩行というアクロバティックな発想で「陸にいる人間をサメにどう襲わせるか」という問題をクリアしていたのに、ここまでグダグダ感が強いのは実に勿体ないと感じてしまいます。
その他見どころや豆知識
- 本作でウィルを演じたブランドン・オーレは『Planet of the Sharks 鮫の惑星』に、デュークを演じたジョナサン・ピーナーは『鮫の惑星:海戦記(パシフィック・ウォー)』にそれぞれ出演しています。
- せっかくの卒業パーティを海上に浮かぶ掘っ立て小屋みたいな浮島で行うカリフォルニア大学生物部の学生たち。
- ブラッドの肩に「優」のタトゥー。登場する俳優が謎の日本語タトゥーを彫っているサメ映画あるある。
- ブラッドとレベッカが襲われるシーンにて、深みから迫って来たサメに襲われた風になっていますが、水深がかなり浅い場所に見えます。恐らく『Planet of the Sharks 鮫の惑星』で使われたのと同じ場所です。
- 「岩があって座礁するかもしれないから来るな」と言われているのに船で岸に向かうセミナー参加者たち。
- 謎の気功みたいなポーズをして髭モジャ弁護士に殴りかかるヒッピー。
- 浮島の研究所や船でサメ襲い掛かる場面で、明らかにサメの頭のサイズが小さくなっています。場面に合わせて縮尺変えちゃってますね。
- 元気玉集めるようなポーズで喰われるダフネ。お前は一体何がしたかったの?
- 船を飲み込むほどの渦潮が発生しているのに何故か巻き込まれずに泳ぎだすウィルの元妻。
サメに関する解説
サメの造形
サメの顔だけを見れば、シリーズ過去作品よりビジュアルが改善されていました。
これまでの多頭シリーズのサメはどれも目が小さく醜悪な顔つきでしたが、本作のサメは円らで大きな目をしていて余計なシワのようなものがなく、本物のホホジロザメに近い顔をしていました。
ただし、顔つきのリアリティが増した分ホホジロザメ独特の可愛らしさが出ており、頭が六つある姿の滑稽さを引き立てているように思えます。
サメの行動
他のサメ映画には共通して言えることですが、サメ類は骨格のほとんどが軟骨でできているため、陸上進出できたとしても体を支えるのが困難だと思われます。
特に本作のサメのように頭を足として使った場合、吻先の骨が折れてすぐ使い物にならなくなるでしょう(そんな鼻行類みたいな生き物が存在するとは思えませんが)。
なお、さすがに切り落とした頭が生えてくることはないものの、サメ類が非常に高い治癒能力を持っていることは複数の種で確認されています。
今後も人類がサメの保全と研究に務めれば「サメの再生能力を人間に応用する」という話がフィクションの壁を超えるかもしれません。
その他サメの解説
研究所(という名のショボい浮島)にて、「サメは400歳生きる」と話すシーンがありますが、これはニシオンデンザメというサメの水晶体に含まれるタンパク質の放射性炭素の量から年齢推定を行った結果です。全てのサメがここまで長寿なわけではありません。
本作のシリーズ作品
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