邦題 | ディープ・ブラッド 復讐のシャーク |
原題 | Deep Blood / Sharks / Sangue negli abissi |
公開年 | 1988年 |
監督 | ラファエル・ドナート |
出演 | フランク・バローニ / キース・ケルシュ / ジョン・K・ブリューヌ |
制作国 | イタリア |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
ストーリー | ★★☆☆☆ |
演出や絵作り | ★★★☆☆ |
サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
4人の少年ミキ、ジョン、ベン、アランは、人気のないビーチでインディアンの老人と出会い、”ワカン”という海の怪物にまつわる伝説を聞かされる。
老人からその怪物を倒す術が記されているという矢筒を託された4人は、血の誓いの儀式を行うことでお互いの友情を誓い合った。
それから10年後、街を出ていたベンとアランが休暇で戻ってきたことで、4人は久しぶりの再会を果たす。
しかし、突如現れた巨大なサメにより、ミキの目の前でジョンが殺されてしまう。
沿岸警備隊がサメ退治に乗り出すも事態は収束せず、さらに犠牲者を出す始末。
残されたミキ達は、あの日埋めた矢筒を掘り起こし、ジョンを殺したサメに復讐することを決意する・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
ポリティカル・コレクトネスの観点から作中の老人を「ネイティブアメリカン」と称するべきかもしれませんが、作中では終始「インディアン」と呼ばれていたことを考慮し、本記事内の表記も「インディアン」で統一しています。ご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
サメがあまり活躍しないマカロニ・サメ映画
『ジョーズ』が大ヒットしたことを受けてイタリアが量産したサメ映画(通称マカロニ・サメ映画)の一つですが、サメの活躍が少なく味気ない作品です。
多くのサメ映画と違って冒頭で誰かが喰われることはなく、ミキたちと謎のインディアンの交流や成長した彼らの青春シーンが長く描いています。
ようやくサメが人を襲うかと思えば、『ジョーズ』の真似がしたかったのか、サメ自体は全く映りません。
しかも、この女性の死亡事故はメインストーリーにほとんど関係することなく話が進み、「親友をサメに殺される」という起承転結の「起」までに時間がかかります。
ジョンがサメに殺されてからは「親友をサメに殺された少年の復讐劇」という一本の筋に沿って物語は進行するものの、全体的にサメが活躍する場面が少なく、登場するシーンでも少ししか映らないため、どうもサメの存在感が希薄です。
もはや「無関係なサメが捕まったことで事態が収束したことになり、主人公の警告も空しく更に犠牲者が出る」という『ジョーズ』のパクリ要素が、辛うじて本作のサメ映画としての雰囲気を保っていたとすら思えます。
沈没船に爆弾を仕掛けてサメを誘き寄せるクライマックスのサメ狩りはそれなりに見栄えがありますが、タイトルに反してサメ要素の薄い作品と言えるでしょう。
人間関係の描写が多いのに内容ガバガバ
サメの存在感が希薄な分ヒューマンドラマが補っているのかと思いきや、本作の人間模様はかなり雑に描かれてしまっています。
まず、BBQしている少年4人にいきなり話しかけて神話について説き始めるという不審者ムーブ全開のインディアンについて、さも重要な要素かのように登場して矢筒を託しますが、実はこの老人は本筋にほぼ関わってきません。
真犯人ではないサメが捕らえられる様子を眺めるミキの前に幻影の如く現れて謎のアドバイスをしだすので、「なんかこの老人のアドバイスが伏線になってサメを倒したりするのかな」と思いきや、老人の登場はこれっきり。
インディアンの助言が活かされることも、サメの襲撃が怪物”ワカン”の話と繋がることもありません。
託された矢筒についても「なんだかよく分かんねえな」みたいな結論が出た後は放置され、ミキ達はダイナマイトというインディアンらしさゼロの武器でサメに闘いを挑みます。
さらに数少ないサメの登場シーンの合間に、母親の死をきっかけに生じたミキと彼の父親との軋轢や、ベンと気難しい彼の父親との関係性、ミキたちと不良ジェイソンの対立など、青春映画にありそうな要素が次々に描かれるのですが、これらは些細なやり取りであっさり解決したり、どこにも着地しないままふんわり流れたりします。
特に、ミキ達を見下していた不良ジェイソンが、ミキ達がサメ退治から帰ってくる様子を見ただけで改心し、まるで昔からのマブダチのように命がけのサメ退治に同行する流れは、さすがに唐突過ぎて付いていけません。
復讐の達成と新たなる友情に微笑む少年たちというエンディングのおかげで表面上は良い終わり方をしていますが、そこまでに至る経緯がグダグダなので感動は薄いです・・・。
その他見どころや豆知識
- 他人の血液を傷口に塗りたくるなんて不衛生極まりないです。良い子は絶対に真似しないように。
- 少年が襲われるシーンと、ミキが沈没船に爆弾を仕掛けるシーンで、明らかに背景が海ではなく青い壁に見えて、不自然なほど人間と魚の距離が近い映像が映ります。もしかして水族館で撮影した?
- 母親がサメに殺されるシーンの少年と、ジョンが殺されるシーンのミキが何故か口をポカンと開けて無言。どういう心境?少年はまだしも、ミキは叫んだり助けようとしたりしないの・・?
- サメ退治に向かったミキ達の船にサメがぶつかるシーンや、最後にサメが爆発するシーンで『ジョーズ・リターンズ』の映像がそのまま流用されています。
- 「勝手にサメ退治なんてするな!」と言わんばかりにミキ達を港まで帰らせたのに、その後は何の監視も拘束もせず、少年たちが再びサメ退治に行くことを許してしまう沿岸警備隊。
- 沈没船内にダイナマイトを仕掛けるために何度も潜行と浮上を繰り返すミキ。ちゃんと安全停止をしているのでしょうか?潜水病になるぞ・・・。
サメに関する解説
サメの造形
作中に映るサメのほとんどが、ドキュメンタリー用に撮影されたと思しき本物のホホジロザメの映像でした。
リアリティという面ではある意味満点ですが、サメと人間が一緒に映るシーンが少なく、やはり襲撃シーンそのものが薄っぺらいものになっていたように思えます。
なお、ジョンが襲われるシーンでは作り物と思しきサメの背鰭が登場しますが、背鰭以外の姿が見えません。
本来であれば背鰭と共に水面から出るはずの尾鰭上葉も写っていなかったので、背鰭以外は作っていなかったのでしょう。
また、犯人ではないのに巻き添えで捕まるサメには、本物のサメが使われていました。メジロザメの仲間だと思いますが、詳しい種は不明です。
サメの行動
ミキたちはサメを倒す際、ダイナマイトを仕掛けた沈没船内に誘き寄せて爆死させる作戦を実行しましたが、そもそもあんな狭い場所にホホジロザメは入ってこないので、逆に自分たちが追い詰められる可能性があったと思います。
その他サメの解説
捕まったサメに対しミキが「俺が見たサメのヒレは黒かったけど、あのサメはグレーだ。だからあのサメは犯人じゃない」と言うシーンがあります。
当初からサメのヒレを「Black fin」と表現していたので設定上は合っているのですが、残念ながらサメの体色は生きている時と水揚げ後で大きく変わることがあります。
さらに、「ホホジロザメは生きている間に体色を変化させるのではないか?」と示唆する実験結果も存在します(詳しくはコチラ)。
光の当たり方などによって見え方が変わることも考慮すると、体色でサメを見分ける方法はオススメしません。
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