単なるB級サメ映画と比べれば割と楽しめる作品ですが、かの名作の続編を名乗るに値するかと言われれば全力で否定します。
邦題 | ディープ・ブルー2 |
原題 | Deep Blue Sea 2 |
公開年 | 2018年 |
監督 | ダリン・スコット |
出演 | ダニエル・サブレ/ロブ・メイズ/マイケル・ビーチ |
制作国 | アメリカ |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
ストーリー | ★★☆☆☆ |
演出や絵作り | ★★☆☆☆ |
サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
サメの保全活動を行うミスティ・カルフーン博士は、製薬会社を経営する大富豪カール・デュラントに研究協力を依頼される。
研究施設に招待されたミスティ達は、人間に従うよう調教されたオオメジロザメを目にする。
デュラントはこれらのサメを使い、脳機能を高める薬の開発に取り組んでいたのだ。
オオメジロザメの危険性を警告するミスティに耳を貸さないデュラントだったが、高度な知能を獲得したサメたちはやがて施設を破壊し、研究所内の人間を一人、また一人と襲い始める・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
前作をパクッてグレードダウンしただけ
前作『ディープ・ブルー』は劇場公開作品だったのに対し、本作『ディープ・ブルー2』はテレビ映画です。
名前の通り傑作サメ映画『ディープ・ブルー』の一応正統な続編として製作されていますが、前作とストーリー上のつながりはなく、むしろ前作の設定をパクっただけの低予算映画と言った方が近いです。
パッと思いつくだけでも、以下の要素が前作と共通しています。
- 「知能の高い複数のサメが海中研究所で大暴れして閉じ込められる」というシチュエーション
- 美人の研究者、タフなサメ使い、黒人の大富豪というキャラクター設定
- 大きなガラス窓とウェットプールがあるメインラボ
- ラボで眠らせていたサメが急に暴れだす展開
- サメに体当たりされて勢いよく飛び出すネジ
- カッコつけて話している途中にサメが飛び出して喰われる場面
例えパクリでも高クオリティなら文句なしなのですが、舞台設定、プロットの作りこみなど全体的にグレードダウンした感は否めません。
また、3分の2ほど進まないと施設が水浸しにならず、サメの見せ場やハラハラする場面を挟みつつ開始40分で脱出劇が幕を開ける前作に比べてテンポが悪いです。
さらに、知能が一番高くラスボスのように言われていたベラが照明弾2発というしょぼい方法で退場したり、大した伏線もなく施設を全て爆破するスイッチがラストに登場し、しかも建物を吹き飛ばしただけで他のサメも全て倒したことになるなど、後半の展開が非常に雑です。
アサイラム作品をはじめとするB級サメ映画と比べれば一定のクオリティを保っているので多少楽しめますが、かの名作『ディープ・ブルー』の続編という期待値で見てしまうと、失望か憤りに襲われると思います。
強いてグレードアップしている点を挙げるなら、子ザメに噛み千切られ眼球のない顔がクローズアップする、食い千切られた下半身から臓物がこぼれ落ちるなど、前作に比べてグロ描写が強めになっていました。
活かしきれていないオリジナル設定
もちろん本作にもいくつかオリジナル設定があるのですが、以下のように活かされていないものが多いです。
- 5匹もサメを登場させたのにベラとその子供たち以外ほとんど活躍しない。
- 前半ではトレントに従順なサメたちが何をきっかけに命令に背くようになったのか説明不足。
- デュラントが試薬を飲むシーンが意味ありげに2回も描かれているが、特に後半につながることもないまま喰われて終わる。
- ダニエルがレズリーに隠れてデータ提供していたというエピソードが何のために挿入されたのかよく分からない。
あくまで僕の想像ですが、監督か脚本家なりの構想や設定を詰め込み過ぎて会話シーンやよく分からない描写が多くなり、肝心のサメを蔑ろにした結果、回収されない伏線だらけでテンポが悪い作品になってしまったのではないでしょうか。
その他見どころや豆知識
- 冒頭でフィニングをしている漁師たちについて、背ビレだけ切ってサメを捨てていますが、フカヒレで一番効果なのは尾鰭下葉です。フィニングをしている時点でバカですが、もう色々と救いようがないです。
- ミスティが授業中に「オオメジロザメの噛む力はホホジロザメの10倍ある」などと言っていますがデマです。オオメジロザメの方が噛む力が強いと示す研究は実在しますが、そこまで大きな差があるとは述べられていません。
- デュラントはサラ・コナーと友達になった方が良さそう。
- 背ビレをカッターのように使ってロープを切るサメ。そんなアニメみたいなことが出来てたまるか。
- なぜ施設の電力を支える発電機を丸出しにして、しかも燃料が詰まったドラム缶のすぐ近くに設置したのか理解に苦しみます・・・。
- 施設内の廊下を照らす非常灯の色が場所によって異なる描写は『キューブ』を意識している?
- もともとネタ要素満載のデュラントがサメに対して咆哮することで勝った気になっているのが完全にギャグ。
サメに関する解説
サメの造形
CGの作りもの感がやや強めでしたが、総じてそこまで悪くない仕上がりでした。
サメの顔つきが凶悪・醜悪に描かれているのは気になりましたが、それは前作『ディープ・ブルー』にも同じことが言えるので、本作特有の問題とは言えないでしょう。
丸みを帯びた短い吻、小さい目、筋肉質で体高がある体つき、幅広く大きな第一背ビレに対して小さな第二背鰭や臀鰭などの特徴はきちんと再現されており、見る人が見ればオオメジロザメがモデルなのだとすぐに分かる姿をしています。
また、今回登場した子供は後述する通り問題点が非常に多いですが、「親と違って吻が少し長く、体高はそこまで高くない」という特徴が再現されていました。
制作陣がどこまで意識したのかは分かりませんが、サメの造形に限って言えば、本作は割と作りこまれている方だと思います。
ただ、眠っているベラの口を開けるシーンでサメの歯がアップで映りますが、歯の形に誤りがありました。
作中のオオメジロザメは上顎歯も下顎歯も大きな三角形でしたが、実際のオオメジロザメの下顎歯は上顎歯に比べて細長いです。
歯の形までこだわってサメを描いているサメ映画自体が少ないですが、本作ではかなりアップで歯が映るので、もしサメのビジュアルにこだわっていたのであれば歯にも着目して欲しかったです。
サメの行動
本作最大の問題点は子ザメたちが気持ち悪すぎることです。
ピラニアのように群れで行動するのは「知能が発達したベラの子供だから」で無理やり納得するとして、謎の波しぶきを立てながら「ギイィィィィー!」という鳴き声を上げて迫る様子には笑う気も起きません。
恐らく成魚のように水面から背ビレを出して存在を示すことができない代わりに波しぶきと鳴き声を使ったのだと思いますが、実物のサメを見たことないSFファンが作ったのかと思うほど滑稽な代物でした。
Z級サメ映画ならまだしも、『ディープ・ブルー』の続編でやっていいことではありません。
強いてこの作品のサメを評価するのであれば、サメの種類がオオメジロザメになったことでしょうか。
前作で登場したアオザメは外洋性で長期飼育実績もなく、実験ザメとして明らかに不向きでしたが、オオメジロザメは複数の水族館で長期飼育の実績があります。
脳の研究に適しているかどうかはともかく、アオザメに比べれば飼育しやすい実験動物と言えるでしょう。
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