タイトル的に『ジョーズ』×『MEG ザ・モンスター』っぽいですが、どちらかと言うと『ディープ・ブルー』のパクリに近いです。
邦題 | ジョーズ・ザ・モンスター |
原題 | 血鲨Ⅰ/Horror Shark |
公開年 | 2022年 |
監督 | ワン・リーアン |
出演 | アレックス・フォン/チョウ・ウェイトン/ウェン・ドンジュン |
制作国 | 中国 |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品) |
ストーリー | ★★☆☆☆ |
演出や絵作り | ★☆☆☆☆ |
サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
かつて人命救助中にサメに噛まれた過去を持つ遺伝子工学の研究者ミン・シューアンは、海洋生命遺伝子バンクのジェシカ・ジョーンズ教授と共に、ホホジロザメの飼育と繁殖に取り組んでいる巨大水族館”楽園”を訪れる。
しかし、研究成果とそれによる利益を優先するチン・チーグアン社長のもと、楽園ではホホジロザメの遺伝子を変化させる無謀な実験が行われていた。
さらに、ミンの脚の治療のために開発された試薬が投与されたことにより、実験体だったホホジロザメが高度な知能と凶暴性を兼ね備えた生命体”ブラッドシャーク”と化してしまう。
ミンの警告を無視してブラッドシャークの有効利用を計画するチンだったが、暴走したブラッドシャークは施設を破壊し始め・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
前半ディープ・ブルーで後半はMEG
とても「パロディ」などいう生易しい言葉で誤魔化しきれないパクリをすることでお馴染みの中国サメ映画ですが、今回も盛大に名作サメ映画をパクってくれました。
ちなみに原題は『血鲨Ⅰ』となっていますが、特に二作目が作られたという情報はありません(2022年12月現在)。
結論から言えば、『ディープ・ブルー』のような展開に始まり、『MEG ザ・モンスター』的な終わり方をする作品です。
冒頭でいきなりストーリーの終盤におけるシーンを持ってきて世界観に引き込む手法はサメ映画としては斬新でしたが、その後に登場するのは「チタン合金のフェンスに覆われた元軍事基地の海洋研究施設」。どこかで聞いた覚えがありますね・・・。
その後もサメとフリーダイブするサメ飼育員や、実験室に拘束されて注射を打たれるサメ、白衣の研究者を咥えたサメがガラスを破壊するなど、見覚えのある懐かしいシーンが連続します。
施設が水族館を兼ねていたり、飼育員が美女になっていたり、サメがホホジロザメだったりと細かい違いはありますが、「研究施設で無茶な実験をした結果サメが凶暴化して施設を破壊し始める」という展開は『ディープ・ブルー』そのものです。
その後に実験ザメが外海へ逃げ出す展開はオリジナルかと思いきや、「シャークケージに入った美女がサメに毒矢を打とうとする」や「最終的に野生のサメが集まって敵を倒す」など、所々にジェイソン・ステイサム主演のメガロドン映画を思わせる場面があります。
名作をパクっている分ストーリーの流れ自体はそこまで悪くないのですが、サメ映画を観慣れている人は妙な既視感を覚えながら鑑賞することになるでしょう。
短い尺の中に色々詰め込み過ぎ
本作には色んな要素が詰め込まれ過ぎており、『ディープ・ブルー2』以上のまとまりのなさを感じます。
本作の主人公ミン・シューアンは、かつて「楽園」で行われたパーティ的なものでサメに噛まれた経験を持っており、その怪我の後遺症で水泳をやめてしまい、遺伝子工学で開発した試薬によって脚を回復させたというバックグラウンドを持っています。
そして、そんなミンが訪れた「楽園」では、その時に助けた女性チー・ホワンがサメの飼育員として働いており、ミンと彼女が再会したことでラブロマンス的なものも始まります。
そんな中でチン社長がミンの試薬を勝手に実験体のサメに投与し、薬に含まれているタコとミン自身の遺伝子により、サメが自己治癒能と高度な知能を発達させます。
さらに、そのブラッドシャークを始末すべきと考えるミンと、金儲けのために利用しようとするチン社長との間で対立が生じます。
ここまで読んでいただければ分かる通り、70分の尺に収めるのは無茶に思える詰め込み具合です。
また、ブラッドシャークの自己治癒能力や高度な知能という設定が活かされる場面はわずかしなく、普通の凶暴なサメとして暴れ、普通の人食いザメとしてあっけなく倒されてしまいます。
さらに、善人面したジョーンズ教授がミンの試薬を実験に使うことに同意していたり、クズ同然だったチン社長がいきなり弟のために自らを犠牲にしたりと、登場人物の行動原理に謎が多い(というか雑)です。
もう少し時間をとって各要素のバックグラウンドを描ければそれなりに成立するストーリーな気がしますが、これらほとんどの要素がセリフなしの回想シーンやほんのわずかなセリフで説明されるため、ちょっとでも気を抜くと「何でこれがこうなった?」と混乱しかねません。
部分的なチープさがすごい
本作で印象的だった点として、作りこまれた部分とチープな部分の差が激しいということが挙げられます。
一番気になったのは、水の表現や水中映像です。
施設内の水がほとんどCGで描かれているのはまだ納得できるのですが、水中を泳ぐ登場人物の動きが明らかに不自然です。
背景や毛髪の動き方などから判断して、恐らく水中映像を水中で撮影していないのでしょう。
また、非常にリアルな水生生物が豪華な施設の水槽で泳ぐ場面と、商業施設のプロジェクトマッピングのようなヘボい映像や安っぽい建物の映像が混在しています。
恐らく実在する大規模水族館で一部の映像を撮影し、他の映像は本作用にCGで描いたのだと思いますが、あまりにも背景と合っていなかったりガラスに映る魚の姿がデカすぎたりと、絵作りが非常に雑でした。
「楽園」の外観や施設内などの舞台セットはよく出来ており、各俳優陣の演技も悪くないのですが、その分安っぽい絵作りが目立ってしまっている感があります。
その他見どころや豆知識
- アザラシの水槽内で突然発光する魚が出てくるシーン、チープ過ぎるCGに気を取られがちですが、よく見ると淡水魚が混じっています。
- チンの弟チースーの銃の構え方がふざけ過ぎています。もっと体に引き付けて構えてほしいです。
- 登場人物が背ビレにつかまるシーンの時だけ異様にゆっくり泳ぐ優しいサメたち。
- トンネルでミンがジョーンズ教授を助けるシーン、普通に歩いていたはずの場所がいきなりものすごく深くなっていたり、狭い通路のはずなのにサメがすごく大回りで泳いでいたりと、設定と描写が明らかにズレています。
- 腰まで浸かるくらい水が入っていたのに、次の瞬間には水がなくなって乾いた状態になっているエレベーター。
- サイズは普通のホホジロザメとそこまで変わらないはずのブラッドシャークが社長を襲う時はパクっと丸呑みしており、サイズ感が突然変わってしまっています。
- 兄の遺言を無視して無謀な勝負に出た末にあっさりと喰われるチースー。なんか色々と残念。
- エンディングでジョーンズ教授を放置したまま帰った感が少し出てるのが個人的に草。
サメに関する解説
サメの造形
ホホジロザメだと分かる見た目だけど所々おかしい姿をしています。
サメに詳しくない人であれば「リアルなサメを粗いCGで描いた」という風に見えると思いますが、妙にでっぷりしていること、尾ビレのカーブが強すぎる、体の隆起線が露骨すぎるなど、厳しい目で見れば違和感のあるホホジロザメでした。
サメの行動
サメの行動というより、「楽園」が行っている研究の方向性に大きな問題を感じました。
作中における研究の目的は「絶滅危惧種であるホホジロザメの繁殖を効率的に行うために遺伝子を改造して成熟を早める」というものでしたが、人間が遺伝子をいじくりまわした時点で、それはもうホホジロザメとは言えません。
「絶滅危惧種を守る」という行為の対象には、その個体群だけでなく彼らの遺伝子も含まれてます。
カワアカメの遺伝子や怪しげな試薬によって本来の遺伝子を書き換えられてしまったブラッドシャークは、もはやホホジロザメでも何でもない存在で、そんなものが繁殖したところで家畜や見世物以上の価値はありません。
本作はもちろんフィクションですが、上記のようなことを知らない人が安易な放流などで生物多様性を破壊しているのは紛れもない事実です。
「自然を守る」や「動物を救う」という言葉そのものの聞こえはいいですが、「その動作の対象はどこまでを含み、今行っている行動は本当にその目的に合っているのか?」というのは、一般人から政府機関まであらゆる人が考えるべきことかと思います。
その他サメの解説
- ホホジロザメを水から出して縛り付けないでください。すぐに死んでしまいます。
- 作中を通して終始サメが吠えていますが、サメは吠えません。
- 普段は生け簀で飼育されていて、客が来る時だけトンネルを伝って水槽に連れてこられるホホジロザメ。こんな簡単に手名付けられたら飼育も楽でしょうね。
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