邦題 | ジョーズ・イン・ジャパン / JAWS in JAPAN |
原題 | ジョーズ・イン・ジャパン / JAWS in JAPAN |
公開年 | 2009年 |
監督 | ジョン・ヒジリ |
出演 | 滝沢乃南 / 中島愛里 / 春野恵 |
制作国 | 日本 |
ランク | Z級(もはや映画ではない何か。サメ映画の沼であり闇。見ればZだと分かる。) |
ストーリー | ☆☆☆☆☆ |
演出や絵作り | ★☆☆☆☆ |
サメの造形 | ☆☆☆☆☆ |
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あらすじ
旅行で沖縄を訪れた大学生のミキとマイは、ロッジの管理人から「思い出を残せるように、ビデオカメラを無料で貸し出している」と言われ、旅行の様子を撮影することに。
ビデオを回しながら水着で遊んだり、知り合った青年とBBQするなどしてバカンスを満期する中、ミキは室内に残されたビデオテープを発見する。
そこには、自分たちが今宿泊しているロッジで、若い女性たちが青年に惨殺される映像が収められていた。
青年と恋仲になりつつあるマイに対し、ミキは警告しようとするが・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
サメ映画を名乗るべきではない詐欺作品の金字塔
サメ映画界隈では「日本で初めて作られたサメ映画」として紹介されることが多い作品ですが、これを「サメ映画」と認めると、人として大切な何かを失ってしまう気がします。
先の「あらすじ」を読んで、「え、サメの話が全然出てないけど・・」と思ったかもしれません。その通りです。この作品にサメはほぼ出てきません。
サメ映画の原点にして頂点である『ジョーズ』のタイトルを掲げ、DVDジャケットには巨大ザメの顔が描かれているにもかかわらず、約69分の作中でサメが画面に映る時間は1分もないのです。
サメが映る貴重なシーンの内訳は、
- タイトルシークエンス直前に画面の端に映り込むシルエット(数秒)
- 開始から38分ほど経過したころで始まるミキの悪夢に出てくる背鰭(十数秒)
- クライマックスシーンの巨大ザメ(十数秒)
となっています。
サメが映るシーンは本当にでこれだけであり、サメに関連する場面なども存在しません。
サメ要素が皆無に等しい人怖系スリラー映画としてグダグダ進行した後、殺人鬼と対峙するクライマックスでサメが登場する展開も唐突過ぎるうえ、しかもサメが全長50mはありそうな超ジャンボサイズという謎な仕上がりになっています。
一応怪しげなテープの受け渡しシーンで、小さなシルバーのサメを手にした男が「あいつも、こんだけ小さけりゃ可愛いのにな」と、巨大生物の存在を匂わせるセリフを言っていますが、さすがにこれを伏線と言うには無理があるでしょう。
『デプス・ダウン』や『アフター・ザ・ストーム』のように、本来サメ映画ではないものを日本の映画配給会社がサメ映画であるかのように売り出してしまった(つまり作品そのものに罪はない)タイプの詐欺は本作より前から横行していましたが、本作は純日本産映画なのでそうした言い逃れの余地はなく、非常に悪質なサメ映画詐欺です。
スリラー映画としても駄作中の駄作
サメの出番が少ないにしても、スリラー映画として楽しめればまだ救いがありました。
しかし、残念ながら人怖系のスリラー映画としても最低レベルです。
本作のストーリーは「人気のないロッジに泊まりに来た女子大生が、スナッフフィルムを製作している連続殺人鬼に襲われる」という内容で、現在殺人鬼のターゲットにされつつあるミキ&マイと、以前に殺されたと思しき別の女子三人組、それぞれの時間軸の映像が交互に混じるような形で流れます。
この現在と過去がクロスするような独特の進行形式が後半に活かされるのかと思いきや別にそんなことはなく、むしろメインストーリーの進行が遅くなって退屈になるだけです。
強引にでも肯定的に見るなら、タイプの違う女子が交代交代で現れるので、グラドル目当てで観ている人を飽きにくくさせる効果はあったかもしれません。
血まみれの女子の映像がサブリミナル的に挿入されたり、盗撮や監視を匂わすシーンが突然始まったりしてスリラー感が演出されているものの、総じて情報量が足りないので不気味さより退屈が勝ります。
登場する女性陣がグラビアアイドルなので、「せめて彼女たちのサービスショットを楽しめれば・・」と考える男性陣もいるかもしれませんが、画質の荒いハンディカム視点や定点撮影が多く、色気のあるシーンはほぼありません。
僕の好みの問題かもしれませんが、メインで写されている2人より、殺されていた設定の3人の方が可愛い気もします。
男性と会話するシーンで何故か足元の砂浜しか映っていない、逆光が凄すぎて女子の顔が全然見えないなど、素人が撮影したのかと疑いたくなるレベルの映像も多く、まるで幽霊が出てこない『ほんとにあった! 呪いのビデオ』を延々と観させられているような感じでした。
サメ映画を語る資格がなく、スリラー映画としても退屈で、イメージビデオとしての価値もない。ただ救いようのない約69分の映像。それが『ジョーズ・イン・ジャパン』の正体だと言っても過言ではないでしょう。
その他見どころや豆知識
- 本作の英語版タイトルは『Psycho Shark』です。サイコパス的殺人鬼とサメが登場するという意味なのか、狂気を感じるほどつまらない作品という意味なのか、真意は不明です。
- 本作を製作した株式会社ジョリー・ロジャーは、2016年に経営破綻しています。さらに同年2016年、本作でミキを演じた滝沢乃南のグラビアDVDに全裸のカメラマンが映りこんでいることが発覚し、この騒動が原因でアイドルを引退しています。
- 日本サメ映画学会のサメ映画ルーキー会長がとあるYouTube動画にゲスト出演して語った内容に寄れば、どういうシーンでサメのCGを使用するのか決まっていない状態で発注をかけたため、映画シーンとの整合性が考慮されないままCGが作られ、出来上がったものを映像に組み合わせる際に巨大化せざるを得なかったそうです(当該チャンネルが現在トンデモを肯定的に発信していることを考慮し、URLなどは貼りません。)
サメに関する解説
サメの造形
一瞬しか映らないので評価するポイントが少ないですが、まずは先述の通りデカすぎることが問題です。
頭だけ映るシーンを見るに、世界最大の動物シロナガスクジラより大きいのは明らかでしょう。あんなものがどうやって水深2mもなさそうな場所に現れたのか謎です。
もう一つ突っ込むとすれば歯の数です。
サメ映画によく登場するホホジロザメの歯の数は上顎歯24本・下顎歯22~24本、アオザメなら上顎歯24~26本・下顎歯24~26本ほどです(それぞれ、左右の合計値かつ端の方にある小さな歯も含む数です)。
本作のサメがどの種をモデルにしたのかは謎ですが、人間を襲うような大型種であれば、口の大きさに対してもっと大きな歯が少ない本数生えているのが自然な気がします。
サメの行動
ほとんど登場しないので、特に言うことはありません。
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