『帰ってきたエクソシスト・シャーク』のネタバレあり感想&サメ解説【BGサメ映画レビュー】

邦題帰ってきたエクソシスト・シャーク
原題Shark Exorcist2 Unholy Waters
公開年2024年
監督ドナルド・ファーマー
出演エンジェル・ニコール・ブラッドフォード / ジョー・キャスターライン / キンバリー・リン・コール
制作国アメリカ
ランクZ級(もはや映画ではない何か。サメ映画の沼であり闇。見ればZだと分かる。)
ストーリー★☆☆☆☆
演出や絵作り★☆☆☆☆
サメの造形★★☆☆☆

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目次

あらすじ

神父と禁断の恋に落ちた修道女は子供を授かるが、その神父の手によって子供を殺されてしまう。

神に失望した修道女はサタンに祈りを捧げ、世界を破滅させる悪魔のサメを召喚する。

その後、修道女が祈りを捧げたブラントン・ビーチで、女性がサメに襲われる事故が発生。

前作でサメと闘ったマイケル神父の兄ダニエルは、悪魔が憑依したサメの仕業と考え、神の力でサメを倒すべく現地に向かう。

しかし、ブラントン・ビーチでは悪魔のサメに生贄を捧げる修道女が暗躍していて・・・。

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

前作とのつながりが曖昧な続編

マジで帰ってきてほしくなかったクソ映画が、ウルトラマンかドラえもんをパクったような邦題で再び降臨してしまいました。

端的に言えば、サメの悪魔に生贄を捧げる修道女と、その悪魔を倒そうとする神父の闘いというストーリーで話が進みます。

主人公(?)のダニエルは前作に登場したマイケル神父の兄らしいので、一応同じ世界線の話のようですが、それ以外の設定は繋がっていないというか、前作との関係性が曖昧です。

本作は我が子を殺されて闇落ちした修道女が子供の亡骸を捧げてサメを召喚し、妹がその遺志を継いでサメに生贄を捧げるという内容なので、前作とはサメ登場の経緯が全く異なるはずです。

しかし、本作のサメが前作のものと同系統のもののように語られたり、「悪魔祓いは失敗した」と前作のリンダと本作の修道女アンとの繋がりを匂わせるセリフがあったりします。

どうも、本作の修道女アンが前作に登場したリンダの妹であるという設定にしたかったようですが、下手くそな背景説明のせいで矛盾を上手く解消できず、本当にそうなのか微妙な内容になってしまったみたいです。

また、前作のラストではマイケル神父は悪魔祓いに失敗しており、少女たちもバッドエンドを迎えていたように思えるのに(物語が雑過ぎる&意味不明なシーン多すぎてこの解約が正しいのか不安)、本作では「マイケルは闘いに負けたが哀れな少女を助けた」という、本家『エクソシスト』っぽい結末が語られています。

「最低なサメ映画」と称される映画の続編についてここまで真面目に考えるのは野暮かもしれませんが、繋がっているようで微妙に繋がっていない、『ターミネーター』シリーズに近いものを感じました(まあ、ただ単に製作陣が雑なだけだろうけど)。

映像面や分かりやすさは改善

まず良い点を挙げると、前作に比べて映像面では改善が見られました。

サメが泳ぐCG映像は複数のカットが用意され、水中を泳ぎ回ったり飛び掛かったり、様々な動作を観ることができます。サメ自体の映像も前作よりは多少良くなっています。

水中映像が古い任天堂ゲームみたいなグラフィックですし、カメラが意味もなく小刻みに震えたり、一部のシーンが『ほんとにあった!呪いのビデオ』の心霊映像かと思うくらい素人撮影ですが、前作に比べれば十分マシでしょう。

一瞬だけとはいえ、登場人物とサメが一緒に映る映像が存在するのも大きな変化と言えます。デビシャの製作陣がついにクロマキー合成を習得したようです。

また、回想シーンや地獄と思しき場所の映像にはエフェクトが用いられ、少しでもそれっぽい雰囲気を出そうという気概を感じました。

一番注目したいポイントが、神父が十字架を用いてサメと闘うシーンがちゃんと用意されていることです。

人が襲われているシーンにダニエル神父が駆けつけ、十字架をかざした瞬間にサメが吹っ飛ぶという、ちゃんとオカルトっぽい闘いが披露されます。

前作ではDVDジャケットでしか描かれていなかった「サメVSエクソシスト」という醍醐味が、味気ない仕上がりとはいえ映像再現されているのは最大の改善点だと思います。

さらに、ストーリー面も常人が理解しやすいものになっていました。

前作では本筋と何の関係があるのか1mmも理解できない映像が多々挿入されていたのに対し、本作では一応全ての映像が悪魔のサメや修道女と繋がっています。

突然誰だから分からない女性が墓場で苦しみ出したり、謎の盗撮野郎が登場したり、エンドロールの後に水族館でゲロを吐く女性が出てくることもありません。

「続編は一作目を超えられない」というジンクスがありますが、本作においては、前作があまりに酷すぎるために、そのジンクスを乗り越えることに成功しているようです。

やっぱりクソ映画はクソ映画

ここまで評価ポイントを挙げてきましたが、内容を読めばわかる通り「サメ映画の中でも底辺である前作と比べれば」という話です。

本作にも「クソシャ」の名に恥じないツッコミどころが数多く存在します。

これは前作(というかZ級サメ映画全般)にも言えますが、無言シーンや時間稼ぎとしか思えないシーンがやはり多いです。

映画全体で78分しかないくせに、そのうち3分は水中映像がただ流れるオープニングクレジットに費やされ、ラストの約4分は映画の舞台を宣伝する広告的メッセージや、YouTuberがグダグダ会話した後にサメに襲われるシーンに使われています。

マッチョ男性が店内で花火を無言で吟味したり、女性二人組がサメに襲われる前に遊園地で遊ぶなど、所々に無くてもいいシーンが散りばめられていたり、普通の映画であれば一瞬で終わるカットが長々垂れ流されています(そのくせ、ダニエル神父がサメを追うという重要シーンはすごく簡素)。

高級ホテルに過剰にこだわるビッチ臭強めの女が登場してからは特に酷く、映画当てゲームをしたりワインを爆買いするなど、何でもないシーンやくだらない会話が延々と流れます。

結果的にこのビッチはビーチに行って悪魔ザメや修道女の騒ぎに巻き込まれるので、メインストーリーと一切関係ない映像が挿入された前作よりはマシですが、全く色気も面白みもないシーンをダラダラ見せられるのはやはり苦痛です。

例えるなら、素人が『パルプ・フィクション』の真似をしようとしてクソつまらない会話劇を作ってしまった感があります(あれはタランティーノという神の作品であることを忘れてはいけません)。

さらに、修道女アンが手間をかけて生贄を水辺に連れていくシーンを長々描いたにもかかわらず、「サメは時空を超えることができる」などと言い出し、ワームホールみたいな場所からサメが突如現れ陸上の女性を襲ったりします。その能力あるなら最初からそれで人を食べればいいじゃん・・。

登場人物の言動についても、友達がナンパされるのを邪魔した肥満女性が、次のシーンでは彼氏を作るよう勧めていたり、レズ友になった友達が食われて悲しんでいたかと思えば水族館でペンギンと戯れていたりと、支離滅裂なところが目立ちます。

どういう撮影の都合なのか、肥満女性とビッチが出会って会話している設定なのに、それぞれの人物の背景が明らかに別の場所で、目線も全然違う方向を向いているという謎な映像もあります。

もっとも、本作を観る方はデビシャ的クソ描写を全身で浴びて楽しみたい変態ばかりだと思うので、そういう意味では「安定のクオリティ」と評して良いのかもしれません。

その他見どころや豆知識

  • 英語なので分かりづらいかもしれませんが、ほぼ全員セリフが棒読みです。
  • 神父の部屋に入る際に十字を切るシスター。そんな礼儀作法ありましたっけ?
  • 「妊娠させたかもしれない女から逃げてきた」という設定なのに呑気に花火を探し、店から出たらヒッチハイクするマッチョ男性フランク。店に何故、そしてどうやって来た?あとタバコをポイ捨てするな。
  • 割と明るく人目のある時間帯の公園なのに馬鹿デカい声で悪魔に祈りを捧げる修道女アン。
  • サメの事故について報じるレポーターの映像が何故か縦型で、左右に真っ黒なスペースがある。テレビニュースという設定なのにスマホ縦にして撮影したの?
  • ジップラインの装備を着たまま立ち去るオータム。ちゃんと返却したのか気になる。
  • 「オータムに何があったの?」と水槽の中のサメやクラゲに尋ねる肥満女性。聞かれても困るだろ。あと土産屋のぬいぐるみを殴るな。
  • 「神の力は無敵だ」的なことをカッコよく話すダニエル神父の鼻の孔に鼻糞っぽいものが終始映っています。
  • どう見ても金持ちが集まるビーチではないのに、デスティンに着いたと思い込みビッチ。アホか。
  • ラストのYouTuberの会話シーンにて、一作目の元々の邦題である「デビルシャーク」という単語が登場!
  • 目の前に男性がサメに襲われているというスクープが発生しているのに自分のトークを優先する女性YouTuber。

サメに関する解説

サメの造形

全体像が見えるシーンが少ないので評価しづらいですが、出来の悪いホホジロザメの剥製をモデルにしたような見た目でした。

先述の通りCGのクオリティは酷かったですが、悪魔のサメっぽさは出ていたと思います。

水族館のサメについては、体が太めのサメがシロワニ、もう少し普通のシルエットで背鰭が大きいサメがヤジブカです。

シロワニ
ヤジブカ

サメの行動

亜空間みたいな穴から降ってくる時点でコメントのしようがありませんが、サメはクッパみたいな鳴き声をあげることは無いとだけ言っておきます。

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