『サメストーカー ビギニング』のネタバレあり感想＆サメ解説【BGサメ映画レビュー】

邦題	サメストーカー ビギニング
原題	Stalker’s Prey
公開年	2017年
監督	コリン・ゼイズ
出演	サクソン・シャービノ/メイソン・ダイ/シンシア・ギブ
制作国	アメリカ
ランク	B級（トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品）
ストーリー	★★★☆☆
演出や絵作り	★★★☆☆
サメの造形	★★☆☆☆

あらすじ

これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。

見どころ・ツッコミどころ

サメ映画風だが実質ただのサスペンス

いまや三部作になっている『サメストーカー』シリーズの正式な一作目です。

日本では何故か二作目にあたる作品が『サメストーカー』として先に公開され、本作が一作目を補完する前日譚のような位置づけになっていますが、製作は本作の方が先であり、原題や物語の流れからしても本作から観るのが自然です。

そんな本作は、「あらすじ」からなんとなく分かる通り、サメの出番は多くありません。

あくまで、「イケメンのストーカーがサイコパスな本性を発揮して美女に迫っていく」というサスペンス映画となっています。

一応サメの襲撃をきっかけにして物語が動き出し、ラストでサメが本筋に関わって来るものの、それ以外にサメの登場シーンはありません。正直、サメをただの通り魔などに変更してもほぼ成立するストーリーでした。

強いてサメ要素を挙げるなら、ブルースという名前が『ジョーズ』のサメロボットに名付けられた名前と同じことくらいでしょうか。

また、数少ないサメの襲撃シーンは意外にも良質で、ローラたちが気付かないところでサメの背鰭が横切るシーンなど、普通の低予算サメ映画よりも演出面が優れていると感じました。

とはいえサメの出番が少なすぎるので、果たして本作を「サメ映画」と呼んでいいのか悩みましたが、U-NEXTのサメ映画特集の中で本シリーズが紹介されている、シリーズ二作目ではサメの出番が増えるなどの理由から、当サイトでもサメ映画として紹介させて頂きました。

サスペンス映画としては中の下くらい

サメがほぼ登場しない以上、本作はサスペンスの部分を評価するしかありません。

結論から言うと「絶望的に悪くはないがB級と言わざるを得ない」という印象です。

本作の醍醐味は「命の恩人である好青年が徐々に危険な男だと判明していく」という部分ですが、ニックの携帯に保存されたローラの写真を見つめる、病室でローラの手を握るなど、割と序盤からブルースが気味の悪さを発揮していきます。

「徐々に」というよりは「最初からヤバい奴」という感じで始まるので、起承転結の「転」の部分がずっと一本調子で続いている状態になってしまい、元恋人アリソンに関する真相など重要な「転」のインパクトが薄まってしまったように思えます。

また、ブルースは中盤で「サメはまだ近くにいる。サメを殺したい」と言ってサメ退治に出かけますが、この行動に何の意味があったのかよく分からないなど、プロットに雑な部分が見受けられます。

ローラにまだ好意的だった時の出来事なので彼女を食わせたかったわけではないようですし、ヒーローになって彼女を振り向かせたいならさっさと仕留めればいいと思いますが、結局サメとは対決せず。

製作陣の都合でサメの出番を増やすためかと思いきや、ここでもサメはほぼ出てきません。何がしたかったのか謎です。

以上の理由から、致命的につまらないとは言えないものの、サスペンスとしての緩急や洗練性に欠ける作品だと感じました。

サメに関する解説

サメの造形

B級映画にありがちな、「多分ホホジロザメなんだろうけど違和感があるサメ」でした。

尖った吻先や三日月型の尾ビレなどホホジロザメらしい特徴があるものの、妙に目つきが悪く、顔が角ばっていたり、第一背ビレより後ろ側が変な痩せ方をしていました。

推測ですが、生きているサメではなく、サメの剥製を元に再現されたCGだと思われます。

サメの行動

本作に出てくるサメはサイズが小さく2.5mほどだったので、人間を食べてしまうことはないと思われます。

ホホジロザメの幼魚（幼魚と言っても1m以上ある）は、人間ほど大きな動物ではなく、底生性の魚や小型のサメ・エイ類などを食べています。

何らかの理由で人間を噛んでしまう可能性はありますが、本作のようにいきなり襲ってきたり、派手に噛みちぎって丸ごと食べてしまうことは考えづらいです。

本作のシリーズ作品