邦題 | ジョーズ・リターンズ |
原題 | The Last Shark / Great White / L’ultimo squalo |
公開年 | 1980年 |
監督 | エンツォ・G・カステラッリ |
出演 | ジェームズ・フランシスカス / ヴィク・モロー / ミッキー・ピナテッリ |
制作国 | イタリア / アメリカ |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
ストーリー | ★★★★☆ |
演出や絵作り | ★★★☆☆ |
サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
ウィンド・サーフィンの大会を目前に控えた港町で、サーフィン中の青年が行方不明になる。
現場近くでサーフボードの残骸を発見した作家ピーターはサメの仕業だと推測するが、州知事選を前に事を荒立てたくない市長ウェルズの意向で大会は開催されることに。
しかし、大会当日の会場に巨大ザメが現れ、さらなる犠牲者が出てしまう。
人喰いザメを退治すべく、ピーターはサメ狩り漁師のロンと共に海へと出るが・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
「リターン」ではなく「パクーリ」なマカロニ・サメ映画
邦題だけ見ると『ジョーズ』シリーズの中の一作だと勘違いしそうですが、全く無関係です。何も「リターン」しておらず、ただ単に『ジョーズ』をパクった作品です。
この時代のイタリアはヒット作のパクリ映画を量産しており、本作も『ジョーズ』の大ヒットを受けて製作されました。さしずめマカロニ・ウェスタンならぬマカロニ・サメ映画と言ったところでしょうか。
物語の大筋は清々しいほどのジョーズ・テンプレです。
本作公開から40年以上経った今でも続く古典的なサメ映画の流れそのものです。
さらに、本作の主人公の名前がピーター・ベントン(『ジョーズ』原作者ピーター・ベンチュリ―に酷似)、ピーターと共にサメと闘う漁師ロンの風貌がクイントに似ている、ロンの船の外観が『ジョーズ2』でブロディが乗っていた船にそっくりなど、だいぶ露骨なものを感じます。
実際に本作は「あまりにも『ジョーズ』に似ている」という理由で裁判沙汰になり、米国では短期間しか劇場公開できなかったという、いわくつきの作品です。
ただし、ウィンドサーフィン大会をサメが襲撃して以降は、
- 水中でサメと闘うシーンが多い。
- 市長の息子が勝手にサメ狩りに行って余計な被害者を出す(バカ)。
- それに責任を感じた市長がヘリコプターでサメを釣り上げようとする(もっとバカ)。
- 視聴率しか頭にないテレビマンが港にサメを誘き寄せて犠牲者を増やす(ウルトラバカ)。
などのオリジナル展開も多いので、全体的にはそこそこ面白いです。
また、『ジョーズ』の上品な曲調とはまた違ったおどろおどろしいテイストの音楽も、場面にマッチして耳に残る良い曲に仕上がっています。
昨今のB級サメ映画と違い全体的には真面目に作られているので、”亜流ジョーズ”とでも思えば楽しめるでしょう。
サメの再現がチャチなのが難点
サメ映画業界には「ジョーズはみんなで使えるテンプレ」という悪しき風習が根付いてしまっているのでパクリについては目を瞑るとして、本作の問題点はその映像面にあります。
本作に登場するサメのアニマトロニクス(ロボット)は妙にでっぷりしているうえに動きが非常に遅く、テーマパークのアトラクションのようにゆっくりと水面から顔を出す様子は迫力に欠けます。
しかも、登場する際は顔から第一背ビレくらいまでしか映らず、恐らく後半部分は作られていないように見えます。
さらに、水中でサメの全身が映るシーンで使われているのが非常に情けない見た目のオモチャであり、「市販のフィギアでももう少しマシなものがあっただろう」という代物でした。
そんなオモチャが網に空いた穴をすり抜けたり海底洞窟の入り口を岩で塞ぐ様子は、まるで子供向けの人形劇を見ているようです。
クライマックスのサメが爆発するシーンでも、上記のオモチャの頭から後ろが破裂するシーンが一瞬映ってサメが死んだことにされ、本家『ジョーズ』に比べるとショボさが際立ちます。爆発させる瞬間にピーターが叫びながら海に飛び込む謎描写も相まって非常にシュールです。
これらのチャチさを補うためにドキュメンタリー映像と思しき本物のホホジロザメの映像が所々で挿入されるのですが、サメの体型・海の色・画質までもが頻繁に変わるため、寄せ集め感が強く出てしまっています。
音楽や演技などのクオリティは総じて高く、脚や胴体を噛み千切られる妙に凝ったグロ描写は評価に値しますが、やはり二番煎じの域を出ない作品と言えるでしょう。
その他見どころや豆知識
- 本作が日本のテレビで放送された際は『最後のジョーズ』という謎の邦題が与えられていましたが、先述の通り『ジョーズ』とは無関係です。本作の3年後に正当な続編『ジョーズ3』が公開されています。勝手にシリーズを終わらせないでください。
- 本作と酷似した邦題の別作品『ジョーズ・リターン』というサメ映画も存在します。本作とは無関係です。
- 冒頭でマイクがヨットするシーンが無駄に長いし、すごく筋肉を見せつけてくる。そういう人向けのPV?
- マイクがサメに襲われる直前に水面近くまでそびえ立つリーフが映りますが、あんな場所でサーフィンしたら危ないのでは?
- サメが引っ張るブイがまだぶつかっていないのにサーフボードから落ちていく人々。
- テレビマンがサメの襲撃を収めた映像を確認するシーンにて、明らかにサメに小型カメラを取り付けていないと撮影できないような映像が映ります。
- サメが肉に噛みついた瞬間を撃てばいいのに、呆けているだけの間抜けな市長の息子たち。
- ヘリコプターから吊るした肉にサメが噛みついた後「上昇しろ!」と叫ぶことしかしないウェルズ市長。お前は本当にサメをヘリで釣れると思っていたのか?
- 妻やウェルズの息子たちを助けて船に乗せた後、桟橋に残されたままサメに連れ去られるピーター。ウェルズの息子も船にいるんだから船で助けに行ってやれよ・・。
サメに関する解説
サメの造形
先述の通り、全体的にお粗末な仕上がりでした。
人間を襲うシーンで登場する模型は、当時の技術力を考慮すればそこまで悪くない見た目ですが、先述の通り動きがあまりにもゆっくりしており、サメに喰われたいという特殊な癖の持ち主でなければ食べられないだろうと感じました。
水中映像で使われているサメは魚雷のオモチャにとりあえずヒレを付けたような見た目の酷い代物で、ホホジロザメというより素人が再現したオンデンザメのようでした。
また、本編中に挿入される本物のサメの映像について、ウェルズがヘリから落ちて喰われるシーンでイタチザメの映像が使われていたり、ヘリコプターの残骸の中でロンが襲われるシーンにオグロメジロザメっぽいサメが泳ぎ去るシーンが混じっているなどのミスがありました。
素材ごとに画質などが違うのは仕方ないとして、せめてサメの種類は統一して欲しいです。
サメの行動
本作のホホジロザメは特定の岩場を根城にしているように描かれていましたが、あんなアシカやオットセイもいないような場所に根魚のように留まるとは考えづらいです。
また、サメ対策会議みたいな場所でロンは「ホホジロザメは殺したいから狩りをする」などと殺人鬼呼ばわりしていましたが、ホホジロザメによる事故の約80%は死亡事故に至っていません。
その他サメの解説
- ベントンの家で一瞬アップで写るサメの顎標本はメジロザメ類のものだと思います。恐らくカマストガリザメかペレスメジロザメな気がしますが、見分けの難しいグループなので確証はありません。
- マイクのサーフボードの噛み跡のギザギザが細かいですが、大型のサメに襲われたならあんな風にはならないはずです。
- ボートにぶつかってくる物体が完全にイルカのオモチャ。胸鰭の形状と尾鰭の向きが明らかにサメではありません。
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