邦題 | シャーク・ド・フランス |
原題 | L’annee du requin |
公開年 | 2022年 |
監督 | リュドヴィック・ブケルマ / ゾラン・ブケルマ |
出演 | マリナ・フォイス / カド・メラッド / ジャン=パスカル・ザディ |
制作国 | フランス |
ランク | B級(トンデモ設定や雑なCGなどのツッコミどころを楽しむ作品。) |
ストーリー | ★★★☆☆ |
演出や絵作り | ★★★★☆ |
サメの造形 | ★★☆☆☆ |
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あらすじ
フランス南西部にあるリゾート地ラ・ポワントの海で、何者かに噛み千切られた男性の死体が発見される。
引退を間近に控えた海上憲兵隊のマジャはサメの仕業であると推測しビーチを閉鎖。最後の任務としてサメ退治に向かい、見事に巨大ザメを捕獲する。
しかし、平和を取り戻したと思われていたビーチで再びサメの被害が発生してしまう。
マジャはその責任感から単身でサメを退治しようとするが、2件目の事故をきっかけに地元住民から非難されるようになってしまい・・・。
これ以降の記載は映画の重要部分についてのネタバレを含みます。鑑賞前にネタバレを知ってしまったことに対する責任は一切負いかねますので、予めご了承ください。
見どころ・ツッコミどころ
フランス発の『ジョーズ』オマージュ映画
「史上初のフランス産サメ映画!」として話題になった作品です。ブラック・コメディ好きや一部のコアな映画ファンに人気の作品『ヴィーガンズ・ハム』で肉屋の妻を演じたマリナ・フォイスが主演を務めています。
テイストとしてはコメディ色を強めた『ジョーズ』のオマージュ作品です。
市長が責任追及を避けるためにビーチ閉鎖に協力的という点や、最初にサメを捕まえに行くのも主人公の警官であるなど細かい設定に違いはありますが、基本的には
という、『ジョーズ』から継承されてきた(パクられてきた)流れで進行します。
「もっと大きな船が必要だ」というジョーズパロディではお決まりのセリフも挿入され、ケージに入ったマジャがサメを刺すシーンがマット・フーパ―が襲われるあの場面に酷似しているなど、細かい部分にもジョーズ要素が散りばめられています。
地元有力者のデブが異様に太っていて定期的に落ち着くよう部下からなだめられたり、引退を延期するという真剣な話の最中にマジャがずっと風船を付けているなどのコメディ要素が見られるものの、全体的には正統派サメ映画と言えるでしょう。
ただし、「前半から中盤にかけてサメの直接的描写がない」という部分まで『ジョーズ』の真似をして失速してしまうという、ジョーズパロディにありがちな失敗をしてしまっているのは難点です。
一応マジャたちがサメを捕獲するシーンでサメの背ビレや尾ビレ、それに口が少し映りますが、サメの全体像はほぼ見えません。
その後にビーチで太った男が襲われるシーンでも、食い千切られた鼻が発見されるだけで、サメはおろか襲われるシーン自体が飛ばされています。
サメの全体像や襲ってくる瞬間が描かれているのはラストシーンだけであり、そのラストシーンも銃撃で割とあっさりサメを倒してしまうので物足りなさが残ります。
無闇にサメを登場させればいいというものでもありませんが、登場シーンが少ないのであれば、一回一回のシーンで大暴れして欲しかったです。
人間ドラマや環境問題への皮肉が多め
サメが人を襲うシーンが少ない代わりに、本作は人間ドラマが多めです。
とは言っても、本筋に関係ない色恋沙汰などを挿入して尺稼ぎをしているわけではなく、サメの事故をきっかけに引退を延期したマジャの苦労や、サメによる犠牲の責任をマジャに押し付けて誹謗中傷や傷害事件を起こす人々の愚かさが、メインストーリーの延長線上で描かれています。
無理に人間ドラマを挿入したというより、映画化される際に大幅に改変&カットされた原作『ジョーズ』の人間ドラマ要素を取り入れたように感じました(原作の『ジョーズ』では、市長とマフィアの黒いつながりやエレン・ブロディの不倫など、サメ騒動をきっかけに発生する生々しい人間模様が多く描かれています)。
また本作中には、地球温暖化に警鐘を鳴らす環境活動家を揶揄するようなラジオ放送が流れたり、「絶滅危惧種を殺すと緑の党の思うつぼ」という市長に対し有力者のデブが「二酸化炭素の排出は気にせず遠くへやってくれ」と発言するなど、どこか環境保護を皮肉るような発言が目立ちます。
そうした人々が後半で痛い目を見ることもなく、むしろ捕獲したサメを殺さなかったことでマジャが殺人者呼ばわりされ、最終的にはサメを殺してエンディングを迎えるという、皮肉の方が的を射ていると言わんばかりの展開にはいささか不快感を覚えました。
そもそもサメが現れた要因として気候変動を挙げているのですから、せめて環境保護を揶揄した人間が大きな経済的損失を被るくらいのオチは用意して欲しかったと思います。
その他見どころや豆知識
- 本作の邦題『シャーク・ド・フランス』は「フランスのサメ」という意味ですが、原題『L’annee du requin』は「サメの年」を意味します。英語では原題に近い『Year of the Shark』と呼ばれています。
- 主要なレビューサイトではマジャたちについて「海上警察」と書かれていますが、厳密には「海上憲兵隊」です。地方で警察活動に従事しているので実質警察ではあるものの、一応フランス軍の管轄です。
- 作中では市長以外の人間がマスクをしておらず、「去年はコロナで今年はサメか」と、まるでコロナ禍が終息したような発言もありましたが、WHOが新型コロナウイルスについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を終了したのは本作公開後の2023年5月です。
サメに関する解説
サメの造形
日本語字幕を見る限りは終始「サメ」としか呼ばれていませんでしたが、サメ映画ではスタンダードなホホジロザメがモデルだったと思われます。
大きな三角形の第一背ビレ、極端に小さい第二背ビレ、発達した尾ビレ下葉などの特徴がホホジロザメのそれですし、大口を開けて迫ってくるシーンで見える歯もホホジロザメのものに似ていました。
ただし、本作のサメをよく見ると腹ビレや臀ビレを欠いており、サメのリアリティには大してこだわっていなかったことが伺えます。
ホホジロザメにしては吻が短くて顔も不細工であり、あまり良い再現とは言えないでしょう。
サメの行動
本作ではサメに麻酔を打って眠らせて檻に閉じ込めるシーンがありますが、ホホジロザメは泳ぎ続けることでエラに酸素を送るサメなので、動けなくなった後も適切にケアしないとすぐに死んでしまうでしょう。
また、サメを捕まえたマジャたちは当初サメを飛行機に載せてインド洋に送るつもりだったようですが、4~5m級のホホジロザメを水槽に入れて飛行機で運ぶのは恐らく不可能であり、船で運ぶべきだと思います(そもそも人間の都合でホホジロザメを他の海に移していいのかが疑問ですが)。
本作のサメについて評価できる点があるとすれば、水面近くを泳ぐ際に尾ビレ上葉が水面から出ていたことくらいですね。B級映画では第一背ビレだけ水面から出してサメの存在を示しがちなので、尾ビレまで映していたのは評価に値します。
その他サメの解説
2件目の事故が起きて決起集会的なものが開かれるシーンにて、襲ったサメがオオメジロザメであると断定するような発言が出てきますが、先述の通り本作のサメはどう見てもホホジロザメがモデルです。
また、そのスピーチの最中にスクリーンに映っているサメの顔がシロワニです。
やはり製作陣はサメのリアリティやディテールについてこだわっていなかったようですね。
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